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2025.03.19 更新

レーダ雨量の合成

レーダ雨量の合成

レーダ雨量計観測値は、合成局にて合成処理が行われて、合成レーダ雨量として配信されます。

レーダ観測値が合成された面的な雨量データには以下の種類があります。
種類時空間解像度と配信遅れ時間特徴所管
Cバンドレーダオンライン合成雨量5分毎の降雨強度,1km,5~10分遅れCバンドレーダ雨量計26基(CMPを含む)をベースに気象庁・国交省・自治体等の地上観測雨量を用いて面的観測雨量を補正・合成したリアルタイム利用向けプロダクト.2004年頃から作成されており、現在に至るまでに補正に使う地上雨量地点数を増やしたり、補正方法や合成範囲の改良などが行われてきている.水局
Cバンドレーダ同時刻合成雨量5分毎の降雨強度,1km,配信無しCバンドレーダ雨量計26基(CMPを含む)をベースに、レーダ観測時刻前後の気象庁・国交省・自治体等の地上観測雨量を用いて面的観測雨量を高精度に補正・合成したオフライン解析向けプロダクト.2006年3月頃から作成されており、現在に至るまでに補正に使う地上雨量地点数を増やしたり、補正方法や合成範囲の改良などが行われてきている.水局
CバンドMPレーダ・XバンドMPレーダ合成雨量データ(XRAIN)1分毎の降雨強度,250m,1~2分遅れ2偏波の位相観測技術を取り込んだ機器更新により従来より強雨に対し高精度な観測が可能となったMPレーダのみ(CMP21基XMP39基:2024.8現在)を用いて、地上観測雨量による補正無しでCバンドレーダオンライン合成雨量と同等程度の精度を確保した合成プロダクト.2016年7月頃から作成されており、現在に至るまでに、観測範囲の拡大や精度改善に向けた定数やテーブル調整が行われてきている.※2016年以前はXバンドMPレーダだけを合成したXRAINが2010年頃から作成されていた(利用XMPは初期11基から39基まで徐々に増加)水局
解析雨量30分毎の1時間雨量,1km,14分遅れ程度気象庁のCバンド(MP)レーダ20基をベースに水局のCバンドレーダ雨量計26基、気象庁・国交省・自治体の地上観測雨量を用いて解析したプロダクトで降水短時間予報の初期値.(詳細はこちら)気象庁
速報版解析雨量10分毎の1時間雨量,1km,5分遅れ程度気象庁のCバンド(MP)レーダ20基をベースに水局のCバンドレーダ雨量計26基、気象庁・国交省・自治体の所定時間内に利用可能な地上観測雨量を用いて解析したプロダクトで速報版降水短時間予報の初期値.(詳細はこちら)気象庁
5分毎250mメッシュ全国合成レーダー降水強度GPV5分毎の降雨強度,陸上250m~海上1km,1分遅れ程度気象庁のCバンド(MP)レーダ20基をベースに水局のCバンドレーダ雨量計26基(CMPを含む)とXバンドMPレーダ39基、気象庁・国交省・自治体の地上観測雨量やウィンドプロファイラやラジオゾンデの高層観測データなどを活用して解析したプロダクトで高解像度ナウキャストの初期値.(詳細はこちら)気象庁
5分毎1kmメッシュ全国合成レーダーエコー強度GPV5分毎の降雨強度,1km,1分遅れ程度上記5分毎250mメッシュ全国合成レーダー降水強度GPVを低解像度化したプロダクト.(詳細はこちら)気象庁
水局:水管理・国土保全局
※各プロダクトは時空間解像度の違いだけでなく各種精度において一長一短があり、適時改良も行われてきていることから品質が年によって変わってきていることに留意が必要です。

 1.Cバンドレーダオンライン合成雨量(※特許取得済)

 Cバンドレーダオンライン合成雨量は、全国26基のCバンドレーダ(MPレーダを含む)による観測結果を用いて、解析処理局で雨量換算及び仰角合成等を行った後、合成局で、時々刻々地上観測雨量(全国約1万地点)による補正を行ないながら合成を行った5分毎、1kmメッシュ(日本測地系)の準リアルタイム(約10分遅れ)の合成レーダ雨量です。

 メッシュ毎に、精度よく観測できるレーダの優先順位が、あらかじめ登録されており、レーダ雨量計欠測時には、隣接するレーダ雨量計が優先順位に基づいてカバーするようになっています。

Cバンドレーダオンライン合成における合成マップ

【図1】 Cバンドレーダオンライン合成における合成マップ

 地上観測雨量によるレーダ雨量の補正は2段階の補正処理を行っており、まず一様補正(均質化補正)によってレーダ毎のバイアスを補正し、更にメッシュ補正によって局所で生じるバイアス(レーダで捉え難い背の低い地形性降雨等)をメッシュ単位で補正しています。

 メッシュ補正は、単体レーダのバイアス補正ならびにレーダ合成が行われた後に、全ての直交座標メッシュに対し、その近隣となる複数の地上雨量観測値を用いて補正を行なっています。

 この地上雨量補正処理において留意すべき点は、地上観測雨量にも様々な誤差が含まれているため、レーダ観測値を地上観測雨量に完全に合わせ込んでいるのではなく、複数の地上観測雨量をもとに、面的なレーダ観測雨量との誤差が小さくなるよう調整するための補正処理である点です。またレーダで雨が全く観測されていない場合に地上雨量補正によって雨を作り出す処理はしていない点にも留意が必要です。データ利用時には、利用するデータ期間・範囲において、最も精度よく観測可能なレーダの欠測有無や、合成雨量精度改善時期、障害発生有無などを確認の上利用することが望まれます。

詳細はこちら

水文観測業務規程にて永久保存が規定されているCバンドレーダ同時刻合成レーダ雨量は、上記オンライン合成レーダ雨量と同様に、地上観測雨量による2段階の補正をしながら合成したレーダ雨量です。オンライン配信は目的とせず、Cバンドオンライン合成よりも時間をかけて、レーダ雨量の補正に用いる地上雨量データが十分に集まってから補正を行なう(レーダ雨量観測時刻前後の時間帯の地上雨量観測データを利用する)ことで、高精度な合成レーダ雨量となっています。

 

※ 全国合成レーダ雨量情報提供システム  特許第4369816号

  レーダ雨量・補正配信システム     特許第4640718号

  レーダ雨量計運用管理システム     特許第5111842号

 2.CバンドMPレーダ・XバンドMPレーダ合成雨量(XRAIN)  

 XRAINは、全国21基のCバンドMPレーダ雨量計と、39基のXバンドMPレーダ雨量計の観測値を元に、解析処理局で一次処理を行ったのち、合成処理局でクレスマン内挿により合成を行った1分毎、250mメッシュ(世界測地系)のリアルタイム(約1分遅れ)の合成レーダ雨量です。

 各メッシュの値は複数のレーダ観測値に重みを付けて内挿することにより算出されています。

 偏波観測値を元にしたKdp法による雨量算定を併用することで、地上雨量による補正なしに観測精度を確保できるため、ほぼリアルタイムのデータ配信が可能となっています。データ利用時には、利用するデータ期間・範囲がXMPまたはCMPの定量観測範囲でカバーされるようになっていたか、雨量算定に用いられる定数やテーブルが最適化されていたか等を確認の上利用することが望まれます。

 

■クレスマン内挿法

 クレスマン内挿法によるレーダ雨量計の合成では、一定の高さまでを観測している複数のレーダ雨量データを用いて、レーダ雨量計から近いほど、また観測高度(レーダビームの中心高度)が低いほど重みを大きくした重み付け平均によって各メッシュの雨量を計算しています。

どの高さまでのデータをどのように重み付けするかは、レーダ雨量の品質を確保する上での重要なパラメータです。

 

XRAINにおけるクレスマン合成模式図

【図2】 XRAINにおけるクレスマン合成のイメージ


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