トップページなるほど川の豆知識実務技術者のためのレーダ雨量計講座(平成22年2月更新)
レーダ雨量計の利活用
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レーダ雨量計の利活用
 新たに開発されたレーダ雨量計全国合成システムでは、定量的に精度の高い合成レーダ雨量をオンラインで配信したり、オフラインの水文データとして保存することが可能となりました。
 これにより、洪水予測やダム管理支援などに使用するオンライン的活用、河川計画流量検討や洪水再現検討等のオフライン的活用など、正確な雨量強度とその分布が求められるというレーダ雨量の特性を生かしたさまざまな利活用が考えられます。
 その中から、防災情報の提供、災害の監視、洪水流出解析、災害情報のリアルタイム検索、そしてXバンド小型レーダ雨量データの補正について紹介します。

 
 1.防災情報の提供
 合成レーダ雨量は、国土交通省の統一河川情報システムや防災情報提供センターの防災情報のひとつとして配信されています。
統一河川情報システム画面
【図26】 統一河川情報システム画面

 
 2.災害の監視
 レーダ雨量を用いて台風や発達した低気圧の接近に伴う雨域の移動を示すことにより、災害の監視情報として活用することができます。
 図28は、2004年7月18日の福井豪雨の際のレーダ雨量です。狭い範囲で帯状に延びている強雨域を正確に捉えていることがわかります。
防災情報提供例
【図28】 福井県付近のレーダ雨量画面
(2004年7月18日5時30分)
【図27】 防災情報提供例
(国土交通省 防災情報提供センター画面)
http://www.bosaijoho.go.jp

 
 3.レーダ雨量を用いた洪水流出予測 (特許取得済)
(1)レーダ雨量を用いる優位性
 レーダ雨量計を用いて面的な雨量の分布を定量的に捉えることにより、精度の高い流域平均雨量を求めることができます。これを用いることにより、精度の高い洪水流量の再現を行うことが可能です。
 図29は、レーダ雨量計と地上雨量計の両方のデータを用いて流域平均雨量を求め、それぞれの流出計算結果を比較した例を示したものです。
 図29(A)は、レーダ雨量(各メッシュの算出平均)と地上雨量(ティーセン法)から求めた流域平均雨量の時系列図です。同(B)でわかるように、地上雨量計では強雨域を捉えていないため、レーダ雨量から求めた値と比較して小さく評価されています。
 図29(C)には、これら双方の流域平均雨量による流出解析結果を示しているが、レーダ雨量による流域平均雨量を用いた場合、第2ピーク部の再現性が向上しています。これより、レーダ雨量を用いることで、より精度の高い洪水流量を再現できることがわかります。
ハイエトグラフ(流域平均雨量)
(A) ハイエトグラフ(流域平均雨量)
 
レーダ雨量計で観測した累加雨量分布とティーセン分割 【図29】 レーダ雨量と地上雨量による
面積雨量の評価(流出面積 約150km2
レーダ雨量と地上雨量を用いた流出解析結果
(B) レーダ雨量計で観測した
累加雨量分布とティーセン分割
(C) レーダ雨量と地上雨量を
用いた流出解析結果

(2)分布型洪水予測
 分布型流出モデルは、流域を細メッシュに分割し、地形などの物理的な諸元によりモデル定数を設定します。このため、1kmメッシュで計算されるレーダ雨量の空間分布を反映でき、かつ、物理的に流出機構を解析することが可能であり、さらに精度の高い流出量が得られます。
 近年集中豪雨による氾濫被害、山間部での土砂災害などが増大しています。これらの問題に対応するためには、流域内のきめ細かな地点で予測流出量を算出し、災害の危険度を評価する必要があります。
それには、時空間的な降雨分布を流出量へ反映することができる、分布型流出モデルが必要です。
 洪水予測には、レーダ雨量の現況観測値と短時間降雨予測値を用います。現況までの降雨で決まる流達時間内の洪水予測精度は、全国合成レーダ雨量を用いることでより精度を高めることが可能となりました。
 
集中型と分布型流出モデルの変換過程の比較

【図30】 集中型と分布型流出モデルの
      変換過程の比較
【図31】 落水線図例
落水線図例
 降雨予測結果を使った洪水予測の精度については、レーダ雨量の観測精度だけでなく、降雨予測手法の精度に大きく依存します。降雨予測の精度は、レーダ雨量を用いた移動解析による降雨予測に関しては1〜3時間後程度が限界と言われていますが、レーダ雨量の精度向上は、短時間洪水予測精度の向上に大きく寄与していると考えられます。

 図32はレーダ雨量を用いた洪水予測計算例で、水位の予測結果が示されています。

洪水予測計算例
【図32】 洪水予測計算例

 
 4.災害情報のリアルタイム検索 (特許取得済)
 現在の合成レーダ雨量から過去の類似降雨を検索し、その降雨により発生した災害情報や水文情報等を現在検討されている災害履歴情報データベース等のデータベースからリアルタイムで検索することにより、防災業務の支援を行うものです。
 災害情報や水文情報などデータベース化されつつある情報を有効に利用できます。
リアルタイム検索システム表示例
【図33】 リアルタイム検索システム表示例
リアルタイム検索システム概念図
【図34】 リアルタイム検索システム概念図

 
 5.Xバンド小型レーダ雨量データの補正 (特許取得済)
 Xバンド小型レーダ雨量計は降雨状況を細かいメッシュで、かつ短時間で捉えることができるため、土砂災害などの監視に有効です。しかし、強雨時には電波が減衰し、場合によっては十分な降雨観測ができないことがあります。そのような場合には、全国合成レーダ雨量を用いてXバンドレーダ雨量データの補正を行うことが可能です。
 補正することにより、図35にあるように、Xバンドレーダ雨量計だけでは観測できない場合の降雨分布を再現することができます。この結果を利用して、土砂災害危険度の判定のためスネーク曲線を各メッシュに適用し、危険度判定を行うこともできます。
 
補正適用図
【図35】 補正適用図


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