トップページなるほど川の豆知識実務技術者のためのレーダ雨量計講座(平成22年2月更新)
雨量強度Rrの解析
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雨量強度Rrの解析
 レーダ雨量計で観測された、極座標メッシュの平均受信電力Prは、レーダ方程式により反射因子Zに変換され、次にZ〜R関係を用いて、レーダ雨量Rrが算出されます。最後に、極座標メッシュのRrは全国合成処理の際に直交座標1kmメッシュのRrへ変換されます。

 
 1.レーダ方程式 ─(受信電力Prとレーダ反射因子Zの関係)─
 受信電力PR(mW)とレーダ反射因子Z(mm6/m3)、レーダ雨量計から雨滴までの距離r(km)との間には次の関係があります。

計算式

 この関係式を、レーダ方程式といいます。CとFはそれぞれ、レーダ定数、総合補正係数といい、雨滴の状態、レーダ雨量計のハードウエアや設置条件により決まる定数です。測定された受信電力Pr、雨滴までの距離rから、レーダ反射因子Zが求められます。CとFの値は機器によって異なり、これに係る諸元値は経年的に確実に管理をする必要があります。
 なお距離rは、レーダ雨量計が電波を送信してから受信するまでの時間t(s)から、次の関係式を用いて求められます。
 
計算式
 
※ 雨量強度と受信電力の関係
 雨量強度と受信電力の関係の一例を図10に示します。
 受信機の出力信号には、降雨からの受信信号の他に山岳等によるグランドクラッターからの信号が含まれているので、MTIにより不要な信号を除去し、降雨からの受信電力のみを抽出します。
 瞬時瞬時の降雨からの受信電力は、大きく変動しており(標準偏差で5.57dB)、距離方向及び方位方向の平均化とスキャン平均を行うことにより、平均受信電力として処理されます。
 
雨の強さと受信電力の関係
【図10】 雨の強さと受信電力の関係
※ レーダ反射因子
 雨滴から反射して返ってくる電波の受信電力は、雨滴の直径をDとした場合、単位体積中のΣD6に比例することが知られており、このΣD6(mm6/m3)をレーダ反射因子Zと言います。
※ レーダ定数C
 レーダ定数Cは、雨または雪の誘電係数(| (ε-1)/(ε+2) |2)とレーダ装置の諸元によって表されます。

計算式

計算式

 
 誘電係数は、一般的な値としては、雨が0.93、雪が0.21と言われています。雨におけるCは概ね6×10-7〜2×10-7程度であり、10logC=-62(dB)〜-67(dB)となります。

※ 補正係数F
 補正係数Fはソフト補正係数Fsとハード補正係数Fhからなり、Fhはレーダ方程式が成り立つ前提として下記で述べる3つの仮定に関する誤差を補正するものです。
 1.ビームが完全に雨滴に満たされる
 2.雨滴が完全に球形である
 3.雨滴の直径は波長に対して十分小さくレイリー近似が成り立つ
 これら3つの仮定による誤差はおよそ-6dBであり、これに対数平均を行うことによる誤差の補正値(-2.5dB)を加え、一般的にFsは、10logFs=-8.5dB(=-6dB+(-2.5dB))程度の値が用いられています。Fhは導波管ロスなどで、レーダ雨量計毎に、実測して求めます。

 
 2.Z〜R関係による雨量強度の算出
 レーダ雨量計の受信電力Prから求めたレーダ反射因子Zは、レーダビーム内に分布する雨滴の量を反映する値であり、雨量強度と相関があることが知られています。このため、実際の降雨におけるZとRg(地上雨量)との関係式(Z〜R関係)を統計的に求めておくことによって平均的な雨量強度Rrを算出することができます。

計算式

 ここでBとβは雨滴定数と呼ばれ、一般的な値は雨の場合Bが200、βが1.6、雪の場合はBが500〜2000、βが2.0と言われていますが、雨滴の粒径分布等によって値が変化するため、台風、雷雨、地雨といった降雨の成因によって異なり、一降雨の中でも時々刻々変動します。
 実際には、レーダ雨量計の設置後に行われるMTIの調整状況等によっても大きく変わるため、レーダ雨量計ごとに最新の降雨データを用いて適切な値を
求めておく必要があります。
 Z〜R関係によって求めた雨量強度は、あくまでも統計的平均値であり、必ずしも時々刻々の雨量強度を定量的に示すものではありません。レーダ雨量計全国合成システムでは、全国26基のレーダ雨量計を合成する過程で、地上雨量を用いたオンライン補正を時々刻々行うことで、精度の高い雨量強度と雨量分布を求めています。

雨滴定数Bβと降雨成因の関係
【図11】 雨滴定数Bβと降雨成因の関係(出典:Fujiwara,1965より引用)


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