◆ 特別テーマ ◆ |
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水文観測の現状と展望
国土交通省河川局による水文観測は近年ますます発展し、そのデータを取り扱う統一河川情報システムは17,000以上の観測データをオンライン・リアルタイムで処理している。行政部内だけでなく国民一般とも情報を共有する時代になった。レーダ雨量計をはじめとする河川情報はよく降雨・出水の状況を捉えており、現時点で十分実用に耐えるものとしてさらに広く普及が図られるべきものである。さらに、今後は観測の現場におけるいっそうのリアルタイム化と正確さを求め、処理・利用の面では他の関連情報との連携を含めて、より使いやすく分かりやすい情報を生み出すことによって河川行政の高度化、ひいては国民福祉の向上のため寄与することが望まれ、その技術開発も進んできている。
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洪水ハザードマップの展開とFナビ情報の発想
洪水時の避難に活用する目的で作成されている洪水ハザードマップの作成に際しては、その基になる浸水想定区域図の作成において膨大なはん濫解析計算が行われているが、その計算結果は十分には活用されていない。
そこで、「Fナビ情報」の提供を提案する。Fナビ情報は、想定された洪水の姿を破堤点別や区間別に分解して示すとともに、浸水深だけでなく流体力や浸水継続時間なども加えて多角的に描き、さらにその情報をもとに個別の家屋ごとに避難の必要性を判断できるようにするものである。Fナビ情報は、洪水の進行に伴い最適の情報を提供するものであるが、はん濫解析データがあれば比較的容易に作成できるので、事前に作成しておき、その中から選択して提供することができる。
ただし、Fナビ情報の利用には、提供のタイミングを決定するための水位観測や堤防監視の強化、迅速な情報伝達手段の確保、迷わず利用できるようにするための事前学習の実施などの課題がある。
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◆ 河川情報センター技術検討報告 ◆ |
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統一河川情報システムと水文水質データベースの連携について
近年、頻発しているゲリラ豪雨や台風による洪水に対して、迅速・的確な洪水対応を行うための総合的なソフト施策が求められている。これらに対応するため「統一河川情報システム」と「水文水質データベース」を連携させ、いっそう両システムの活用を図る方策について検討を行った結果を報告する。
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データセンター情報提供システムの信頼性向上対策について
平成13年から洪水による被害を最小限に押さえるためのソフト対策として、インターネットを利用して雨量や水位といった河川情報のリアルタイム提供が行われている。さらに日本では携帯電話の普及期から「i-mode」の登場により、インターネット接続が広く普及していることから、携帯電話を利用した河川情報のリアルタイム提供もあわせて行われている。
また最近では、ゲリラ豪雨が日本各地を襲い、神戸市都賀川の水難事故など痛ましい被害が発生しており、このような被害を減少させるためのツールとして、河川利用者や河川管理者へのリアルタイムデータ配信への期待が寄せられている。このようなインターネットによる河川情報の提供にあたっては、24時間365日の安定した情報提供が求められていることから、高速かつ信頼性の高いインターネット接続回線や安定的なサーバ等の機器設置が確保できるデータセンターを活用している。
途絶が許されない河川情報提供において、データセンターで行っている信頼性向上対策について報告する。
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都市の水害に対する適応力の評価に関する一考察
─非構造格子メッシュモデルによる都市部のはん濫流挙動検証─
現在、浸水想定区域図等を作成する際のはん濫シミュレーションは、地域を一定間隔の直交メッシュに区切り、そのメッシュ内は一様であるものとして合成粗度及び平均標高を算出し、解析を実施することが多い。この手法では,マクロ的に一定の精度は得られるが,都市部のような一つのメッシュの中に道路や建築物,その他の構造物,空地等が入り組んでおり、一つのメッシュ内が一様と仮定していては、道路などのはん濫水が伝わりやすいところを区別することができず、実際の避難行動に活用するには不十分な場合がある。
本報告は、非構造格子を用いたはん濫解析を用いて、都市の水害に対する適応力の評価方法について考察したものである。
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地域防災力の向上にむけて
─討論型演習を活用した試み─
近年、集中豪雨や局地的な大雨などによる水災害が増加しているなか、自分たちの地域を守るために必要な自助・共助・公助が見直されている。
本稿では、地域防災力の向上を図る方策のひとつとして、討論型演習に着目し、国土交通省江戸川河川事務所が沿川自治体と行った討論型演習の取り組みを事例にその効果を提示する。また討論型演習を通して明らかとなった地方自治体の抱える課題を整理し、今後の水防災施策の方向性を示す。
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わかりやすい河川情報の提供に向けたGISデータの整備について
国土交通省河川局では、河川情報のデータ構造の標準化を進めている。データ構造が標準化され、データ整備が進むことにより、全国レベルでのデータ処理やデータベース化が可能になる。
本稿では、河川定期縦横断データ、河川中心線データおよび浸水想定区域図データの標準化に関する取り組みの内容と、標準化を行いデータ整備が進むことによるメリットを Google Earth を用いて述べる。
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