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第5回 河川情報センター講演会 講演記録
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第5回 河川情報センター講演会 講演記録

 コミュニケーションツールとしてのICT
   〜実施ガイド〜

○開催日時 平成19年11月26日(月) 17:00〜18:30
○開催場所 (財)河川情報センター 3F  B・C会議室
○講  師 三浦 伸也 氏
 独立行政法人防災科学技術研究所 客員研究員
 東京大学大学院学際情報学府 博士課程(吉見俊哉研究室)
 地域SNSサイト「かさわき・ソーシャルネット」管理者
○講演内容
 三浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、コミュニケーションツールとしてのICTということでお話をさせていただきます。今、ご紹介にあずかりましたように、私自身、各地の地域SNSとかブログポータルサイトなどを、NTTドコモのモバイル社会研究所のプロジェクトとして調査しております。このプロジェクトのメンバーの東海大学の河井孝仁先生は、『ハイブリッド・コミュニティ』という本を今年の4月くらいに出されております。私自身もこの4月に、『地域SNS最前線』という本を4人の共著で出しております。

 このドコモのプロジェクトでは、実際にブログを書いているアルファブロガー(ブログを書いていて影響度が高いと言われているブロガー)の藤代裕之さん、また、マスメディアから、『シビック・ジャーナリズムの挑戦』という本を書かれた河北新報社の寺島さんなどがメンバーで、それぞれ地域のメディアというのがマスメディアにどういう影響を与えているのか、今後の地域メディアなり市民メディアというのが、実際どういうふうにマスメディアと関係性を保ちながらやっていけるのか、それとともに、従来の啓蒙的な形でのマスメディアというのは、今後はかなり厳しくなっていくんではないか、特に地方新聞なんかは大変になっていくんじゃないかということも含めて、みんなで議論しつつやっております。

 

 今日のお話は、この研究会等で調査しております個々の事例を踏まえて、このスライドの目次をみますと、事例研究ということで13事例ぐらい並べておりますが、この13の事例で実際にどういう問題が起こっていて、何が問題なのか、うまくいっている地域もあれば、同じプラットフォームでうまくいっていない地域もある。あとは、例えば従来ブログとか掲示板ではある程度うまくいっていたのに、SNSを導入したらうまくいかないとかということについて具体的にお話ししたいと思います。

 SNSの話からまず始めたいと思っております。それはやっぱり今、SNSが圧倒的に万能かのように語られておりまして、非常にSNSブームである。SNSを使った、例えばミクシィで考案されたカップラーメンが出るとかいったことも、最近では挙げられています。

 SNSの歴史として、どのような経緯で地域SNSが始まったのか、その前史を含めて、何かがうまくいっていなかったから地域SNSが始まったわけで、その理由をふまえて考えていきたいと思います。果たしてSNSを導入したからそれがうまくいっているのかという問題もあります。SNS以前は市民電子会議室がありました。市民電子会議室というのはなかなかうまくいかなかった。それは誹謗中傷があるからだと言われて、誹謗中傷が起きにくいシステムとしてSNSが登場しました。

 2001年以降、e-Japan戦略とか、さまざまなものが出てきました。情報化の歴史を簡単におさらいして、日本の情報化というのはどういうコンテクスト(流れの中)でこれまで推移してきて、その中で我々が今やっているSNSとかブログとかいうものが、どのようにその進化にかかわっているのか。進化したものが必ずしもよいものかということも含めてお話ししたいと思っています。

 あと、どうしても市民電子会議室とか、ブログとか、SNSといったシステム、そういうシステムの話に終始しがちなんですが、考えてみたら私たちは何もシステムに縛りつけられているわけではなくて、携帯電話、インターネットが非常に普及して以降、個人の情報取得とか収集、発信が急速に変容している。今、調査していて私自身が非常におもしろいと思っているのは、プラットフォームの話よりも、個人の情報収集をどうしているのかということです。今日の資料の中には、実は個人のほうの話というのはまだきちんと整理できていないということもありまして、十分に書き込んでおりませんが、この話の中で話していきたいと思っております。

 今日は、メール、Mailing List、電子会議室、ブログ、SNSの比較、それぞれ特徴があって、それぞれにメリットがあるわけですから、そのメリットを組み合わせてプラットフォームは作っていくべきだという話をしていきたいと思っています。

 まず最初に、「SNSは万能か?」という話から始めたいと思います。SNSについては皆さん、多くの方はご存じだと思いますが、実際SNSをこの中でやっていらっしゃる方というのはどれぐらいいらっしゃいますか?……。ありがとうございました。3分の1から半分ぐらいの感じですね。そうしたらそれはミクシィですか。ミクシィをやっていらっしゃるという方はどれぐらいいらっしゃいますか?……。ありがとうございます。じゃ、ミクシィ以外のSNSをやっていらっしゃる方?……。お一人ですね。

 ミクシィは、ことしの5月21日に1,000万人を突破したという発表がありました。実は今日、いつからサービスが始まったのかを調べたのですけど、2004年3月なので、大体3年ちょっとで1,000万人を突破したことになります。このミクシィの成功というのが地域SNSにも影響を与えています。ミクシィの全体のページビューは、2007年3月末時点で月間109億のページビューです。パソコンで見ている人が69億、モバイルが40億。モバイルというのは基本的には携帯電話だと考えていいと思いますので、携帯で見ている人が40億だということです。サイトの月間滞在時間、これは平均3時間15分です。

 このスライドは私の昔のミクシィのトップページですが、私もミクシィに入ってはいるのですが、この1年間、日記を書いたことはもうなくなっています。今ミクシィを僕の周りで書いている人たち、特に2005年ぐらいから始めた人たちは結構みんな飽きていて、見なくなっているというか、なかなか書き込まなくなっていて、書き込んでいるのは、非常に限られた人が毎日のように書いているということが起こっています。

 SNSというのは、簡単にご説明しますけれど、ここ3年ほどでWeb上に急速に普及して注目を集めているコミュニケーションサービスです。参加メンバーが自分の名前とかプロフィールなどをどこまで、例えば友達までに公開するのか、それともみんなにオープンにするのか、基本的には知り合い同士がお互いにリンクを張り合う仕組みを備えていて、トラブル、誹謗中傷などが起きにくいようなシステムが特徴だと言われています。また、ミクシィは、マイミクという友達の輪とコミュニティ、関心があるテーマで構成されています。

 実際に使ってみると、最初のユーザー数が少ないころはまだよかったのですが、ミクシィにおいていろんなトラブルが起こっているのは、新聞等で皆さんご存じのことだと思います。安心できるサイトだったはずなのが、ユーザー数が増えて、今や1,000万人を超えるとインターネットとちっとも変わらないという事態が起こっています。そのことをきちっと認識するリテラシーがないと、例えば、どこかで物を盗んだということをここで自慢げに無意識に書いてしまった人がいて、このこと自体が暴かれて、自宅まで電話がかかってしまうということが、ある大学の学生に、最近実際に起こっています。この学生は、4年生で就職が内定した会社にまでその電話がいったということがおきています。

 ミクシィのプロファイルというのはどういう構成になっているのかというと、これは圧倒的に若者が多いわけです。パソコンでアクセスしている人が20歳代です。携帯でアクセスしている人はちょっと若くて、18、19歳以降から20歳代を中心とした層です。あと、このミクシィの特徴というのは、男性より女性の比率が多いということです。しかもモバイル、携帯を使っているのは女性のほうが多い。今日ちょっと、さらさらと幾つかの地域SNSを見ていたんですけれど、圧倒的に男性が多いんです。ミクシィの特徴というのは若者が多くて、じゃ、40歳以降はどれぐらいいるかというと非常に少ない。特に携帯とかでアクセスする人というのは、40歳以降では3.5%ぐらいしかいないというのが特徴です。先ほど手を挙げていただいたんですが、やっぱり皆さんやっていらっしゃらないというのは、ある程度納得できますし、むしろ3分の1ぐらいいるということであれば、やっていらっしゃるほうだと考えます。

 地域の属性についてですが、多いのはやっぱり圧倒的に首都圏と近畿です。ほかの例えば北海道とか東北は非常に少ないということで、都会で使われているということです。海外にも4.0%います。4.0%ということは40万人ぐらいです。

 SNSの成果と問題点ということで、簡単にここに整理していますけれど、これはミクシィの場合なんですけれど、学生時代の友人とのコミュニケーション、単身赴任の家族とのコミュニケーション、全国規模でのコミュニケーションで、スケールメリットを非常に活かしているといったことがあります。

 それと、日常のリアルな関係で満足できない人への貢献。これはなぜ書いたかというと、やっぱりミクシィにあれだけ書き込むというのは、日常のリアルな関係の中で満足できない部分が何かしらあるのだろうと思います。そうでないと、あれだけ熱意を持って書けないと思います。とても粘着性がSNSは高いんです。非常に小さな文字で大変申しわけないんですけれど、本日の資料の一番後ろのページにネットレイティングのドメインと総利用時間とページビュー数とユニークユーザー数の資料があります。ここで、ミクシィの総利用時間は2番目なんです。一番多く見られているのはヤフーです。ただ、ヤフーはユニークユーザー数も多いのです。したがって、1人当たりの時間というのはかなり薄められる。ところがミクシィは、総利用時間はヤフーと比べたら随分違いますけれど2位で、ユニークユーザー数は40位で、1人当たりの滞在時間は非常に長いということがいえます。

 SNSをミクシィ以外さまざまに見ていて何を感じるかといいますと、やっぱり時間を非常にとってしまって、囲い込み型のビジネスモデルだということを感じています。というのは、1つにかかわって、そこにはまり出すとすごく時間をとってしまい、忙しい人はなかなかできないということが私の周りでも起こってきていますし、私自身も見なくなってきているということがあります。

 次に、マイナスの側面ですが、これは先ほどから申し上げていますように、ユーザー数が増えたことで、決して安心な空間ではなくなったことがあげられます。「SNSというのは安心だよね」というのが最初の売りだったと思うんですけれど、それがもう決してそんなことではなくなっていて、ミクシィ空間というのが限りなくインターネット空間に近づいている。防御としては、例えば友達までに閲覧を許すとかいう形ができるわけですけれど、それでも非常に緩い人たちがたくさんいて全員に閲覧を許している。そういう意味ではリテラシーが足りていないところもある。

 あと、自由に書き込むことができる空間でなくなったと思います。これは、マイミクがどんどん増えていくと気兼ねして書かなきゃいけない。それはやっぱり自分自身の友達で、この人には書けるけれど、このことを書いたらほかの人にはすごくネガティブなメッセージを出してしまう。ある意味、ほんとうに書きたいことを書くためにこういうことをやっているのに書けない。そういう意味でジレンマに陥っているようなユーザーがいる。実際、私もマイミクがどんどん増えていくと、書きたいんだけれども書けないことがたくさん出てきます。最初の楽しさというのは随分なくなってきて書かなくなったというのもあります。

 前述していますが、時間をとられることも、ミクシィをあまりやらなくなった人の理由のひとつだと考えられます。飽きたということもあるかと思います。当初からのユーザーの書き込みは減少しているのではということは、後ほどもし時間があったら、私のマイミクの中で同じ人ばかりが更新していて、それが非常に少なくなっているというのをお見せしたいと思います。

 日本におけるSNSの歴史は、先ほど申しましたように、2004年から始まっています。3月にミクシィがスタートしています。(GREEも2004年のスタートです。)2004年12月に八代市で初の行政型地域SNSの「ごろっとやっちろ」がスタートしています。いつから急速に増えたかというと、2005年の秋ごろから増えた。2007年の1月末ぐらいで200カ所以上ということで、ちょうどこの『地域SNS最前線』という本を出すころに調査して、それ以降はもう調査不能というか、幾つあるのかわからなくなっています。現在では、So-netでSNSが簡単につくれるSo-net版SNSみたいなのが出て、無料で提供されるようになって、個人でもSNSが簡単に立ち上げられるようになっています。そうすると、もうある意味カウント不能です。

 急増の原因としては、ミクシィの普及、総務省の実証実験、これはSNSというものが広く認知されるきっかけになったと思います。それに、Open PNEの登場。このOpen PNEというのは、無料のオープンソースで、広く普及しています。総務省の実証実験というのは、八代市で開発されたopen-gorottoというオープンソースをベースに開発されたものなんですけど、最初に開発された八代市の方は、小林さんという職員の方なんですけれど、コメントがきちっとプログラムソースに書かれていなくて、それを解読するのに非常に時間がかかってしまって、なかなか思いどおりの動きをするシステムにできなかったということがあります。それがまだ尾を引いているという話は後ほどいたします。

 では、どれぐらいの勢いで増えたのかというと、これぐらいの急カーブで、急上昇したわけです。熊本県の八代市から地域SNSは始まって、総務省の実験、LASDEC、地方自治情報センターの実験が2年目は11自治体で行われていますが、現在、15自治体で3年目の実証実験が行われています。

 まず、自治体で最初に地域SNSを始めた「ごろっとやっちろ」の特徴を簡単に述べたいと思います。人中心のネットワーク、遊べる公園をネット上に作りたいということで始まっています。リアルな人間関係を礎に、地域の人たちが楽しく集える場。市職員の単独開発ということで、ほとんど開発費はかかっていないわけです。彼自身はCADのシステムを作ったり、通常発注したら億の単位がつくようなものを作る能力がある人で、学生時代はゲームの開発者としても結構有名な人だったようです。そういう方が作っている。それがゆえに個人の能力に非常にゆだねられているので、なかなかほかの人がその後に手を入れづらかったということが起こっています。

 目的というのは、「ごろっとやっちろ」の場合は、行政ホームページへのアクセス数を伸ばすためなんです。そのために、市民に日常的にネット上の居場所を提供する。行政へのアクセス数が非常に少なくなっていた。アクセス数がなかなか伸びない。その解決方策として、この「ごろっとやっちろ」が出てきたということになります。これに対して、総務省の地域SNSは、住民参画の一つの手法として考えられているわけです。それと比べると、「ごろっとやっちろ」のネット上の居場所(遊び場)というのは、随分敷居が低いことになります。

 何故そもそも「ごろっとやっちろ」を始めたのかというと、今述べましたようにホームページのアクセス数の低下があります。友達とか周りの自分の知り合いの話題というのは非常に興味津々だから、ここを見に来て、アクセス数があがるだろうと考えて作られています。

 アクティブメンバーが、SNS化する前の「ごろっとやっちろ」というのは、例えば電子会議室の掲示板を用意しても、自分の書きたい書き込みがなかなかない、やれる場がなかったのですが、日記であればだれでも自由に書けるということがありました。

 また、コミュニティ機能が利用されなかった。誰がいるのかわからない、周りは知らない人ばかりだとコミュニティ機能は利用されない。ところがSNSはメンバーがわかるし、つながり感がある。しかも自分自身が招待した人とか、顔が見える関係が、人口約15万人の都市である八代の場合は構築しやすかった。顔の見える関係でコミュニティが形成されています。

 匿名性。結局これまでの電子会議室等は、仮に実名で登録しなければならなくても、それを保障していないわけです。仮に違う人の名前で、私は三浦ですが田中と書いても大丈夫だということがあって、実名性を保障するものではなく、匿名性でしかなかった。それがプロフィールで、その人が大体どういう人である、どういう趣味があったり、周りにどういう友達がいてということがわかる。SNSというのは基本的には招待制になっていますので、招待制のものは友達の輪で広がっていくということで安心だということで、「ごろっとやっちろ」はアクセス数をどんどん伸ばしていったわけです。

 SNS化したことで一気にこの「ごろっとやっちろ」も増えますし、行政サイトも当初の目論見どおり、ホームページのアクセス数が非常に増えていく。それぞれアクセス数が非常に上がっているところは、例えば選挙があったり、あとは八代の花火大会というのは非常に有名らしいのですが、その花火大会があるときなどが、このピークのところになっているということです。こういうものを見て私たちは、これはすごい、「ごろっとやっちろ」は非常にうまくいっているじゃないかということを感じまして、「かわさき・ソーシャルネット」というのを始めるんですけれど、これはちょっと安易過ぎたと、今私自身は感じております。これは後ほどお話しします。

 成果としては、メンバー数、アクティブメンバー数の増加。サークル、コミュニティの新たな動き、勉強会、研究会などが始まったりしています。これは行政職員とか市民の人たちがどこかに集まって、まちづくりなどについて考えるということが起こっています。これまでそういったことは起きなかったんだけれど、起こるようになった。あとは、行政ホームページへのアクセス数の増加、これは顕著です。地域活性化や行政の広報基盤の一つになりつつある。特にこの「ごろっとやっちろ」が一気にアクセス数が上がるときというのは、火事のときです。どこが火事ですというのを、「ごろっとやっちろ」上に表示し、メールで配信するらしいんです。そうするとみんな見るようになる。サイレンが鳴ると「ごろっとやっちろ」を見れば、どこで火事が起こったのかわかる、非常に便利なので使われています。

 課題ですが、ニーズに素早く対応する開発体制が必要だと感じています。Open-gorottoは小林さん1人で開発されています。ソースへのコメントや、ソースをバージョンアップするときためには、小林さんの時間の確保が必要なんですけれど、この「ごろっとやっちろ」が注目されて以降、小林さんが多忙でなかなかそれが難しくなっています。今後の課題というのは、オープンソースでなかなかバージョンがあがらないものをどうバージョンをあげていくかということです。オープンソースの怖さというのを私自身非常に感じています。基本的にオープンソースというのは開発費はかからないんですけれど、その後の運用とかバグへの対応が難しい。ユーザーの方が100人でも200人でも、10人でも20人でも出てくれば、要望がたくさん上がってくるわけです。そういうものに素早く対応することは、これからの課題です。

 今後の展望として、SNSというのは閉じられたシステムなんですけれど、例えばこの八代のSNSとほかのSNS、千代田区とか長岡のSNSというものが、連携し合うということができないのかということです。このことはずっと言われていて、今年の実証実験では連携の実験もされているということですが、なかなかその成果は聞こえてこないので、これから調べてみようと思っているところです。

 eコミュニティ・プラットフォームと書きましたのは、SNSだけじゃなくて、これはブログとか、さまざまな仕組みというのを組み合わせたものにならざるを得ないだろうと。だんだんそういう方向に向かっているんですが、そのときにどういうふうにプラットフォームが開いているのかというのが大きなポイントだと思います。大体「ごろっとやっちろ」が3,000人を超えているくらいのユーザー数です。最近では佐賀新聞のSNS「ひびの」は7,000人と聞いていますので、地域SNSの中で、多分それが一番大きいと思いますが、大きくてもそれぐらいなわけです。そういうものをやっぱり開いていって、検索とかでかかるようにして情報が得られるようにしないと、せっかく仮にいい情報が出ても非常にもったいないということがあります。

 SNSの前史ですが、30分ほどたってしまいましたので、少しスピードを早めたいと思います。SNSはなぜ始まったのかというと、市民電子会議室の失敗があったわけです。市民電子会議室というのは、藤沢の市民電子会議室が非常に有名です。これも後ほど時間があればお見せしたいと思いますが、2002年に、市民電子会議室がどれくらい実際に使われているのか、活発に建設的な議論が行われているのがどれくらいあるのかという調査が行われているわけですけれど、733の市民電子会議室の中で、活発に行われているのは4つしかない。それは神奈川県の藤沢市と大和市と三重県と鳥取県です。この調査の後、三重県と鳥取県の電子会議室は閉鎖され、大和市の電子会議室は停滞しているので、今、実質的に機能しているのは藤沢市だけです。

 大和市は今年の4月に市長選がありました。選挙のときに市長さんが代わって、市民参加とか市民自治ということをちょっと後退させるといいますか、やり方を変えると所信表明されています。大和市でこれまでいろいろ決めてやってきた市民参画の仕組み、例えば自治基本条例等も含めて見直しをするということを言われています。行政が市民参加など法的制度的に保障されていないシステムを使って、市民、住民の意見を聞いたりということをするときは、いつ終わるかわからないということになります。

 このことは例えば藤沢市も来年の2月に市長選がありますので、どうなるかわかりませんが、藤沢市の場合は随分市民のほうに根づいていますし、大和市とはちょっと違うと感じていますので、おそらく藤沢ではもつのではないか。10年間、結局市民電子会議室が続いたんですけれど、なぜ藤沢が続いたのかというのは後ほどお話しします。

 では、多くの自治体で何故電子会議室がうまくいかなかったのかということについてお話ししたいと思います。大きくわけて、3つの理由があるのですが、まず、参加者が少ない、議論が盛り上がらない、なかなか設定されたテーマで書けないということがあります。次に、匿名性による攻撃、誹謗中傷みたいなのが起こって、なかなか市民の情報交換とか意見交換の場ではなくなった。議会とか行政に対する一方的な陳情とか、要求型の突き上げみたいなのが行われて、休止に追い込まれていったと。3つ目が、ここで仮にいい意見が出ても、実際の施策にどういうふうに上げられていくのかというのがなかなか見えなかったことがあげられています。ここのところが、藤沢では市民提案システムみたいな形で、これは条例ではなくて要綱で定められているのですけれど、ひとまず取り決めがされていて、いいものがあったら市長に直接市民運営委員が提案できるような仕組みをつくられているわけです。

 次に行きます。電子会議室の失敗というのは、大体今言ったようなことですので、ここで国がどういうことを考えたかというと、国が率先して、安心して使えるルール作りやシステム的な担保に取り組む必要があると考えたわけです。具体的な対策として、公的個人認証のサービスとか、運営ルールの指針策定とか、行政担当者の対応ルールの確立とか、議会との整理、民意反映チャンネルをきちっと作っていくということがあげられています。これらを踏まえて、地域SNSが出てくることになっていったわけです。

 藤沢市はもう10年続いて、先日10周年の記念イベントをやったわけですけど、シンポジウムなどは何度もやっていて完全に飽きてしまっていることがあり、10周年記念イベントは、50人ぐらいの人が集まっての鵠沼海岸で地引き網で汗を流すことでした。この1年くらいの動きでお話しすると、モーガン邸という非常に有名な建築家が鵠沼のほうに住んでいらっしゃった邸宅があったのですけど、その邸宅を残そうということが市民電子会議室で議論されていました。今年、この邸宅が火災にあった後にも再興しようという動きが出ています。

 大和市については先ほどお話ししましたように、市民参加自体が見直されて、市民参加が法的制度的に保障されていない問題が、露わになっています。

 ここからは、市民電子会議室までの(地域)情報化について、非常に簡単にお話ししたいと思います。情報化が始まった60年代というのは非常に理念的な話で、情報社会論のみで終わっていて、具体的なものはほとんどなかった。

 70年代は郵政省とか通産省で、ある意味バラ色のといいますか、ニューメディアとか情報社会とかいった言葉で、今考えるとごつごつした大きな装置を使いながら、(地域)情報化の夢が演出されていった。

 80年代というのは実質的に、光ファイバーとかパケット通信というのが技術的には出てきて、現在の情報化に移行する時期であったということが言えると思います。

 80年代に情報化は非常に進みました。まず市民生活に深くかかわる部分が、省庁の指定地域モデル事業によって行われていて、官庁主導のものが非常に多かった。それに、情報化を進める理念と実態というのが乖離していた。さらに、経済活動を制度的に保障していたということで、情報化によってさまざまな産業が勃興していった。情報通信産業というのは資本投下の場として再編されていった。4つ目に、60年代、70年代とは全く違うんですけど、実際に実のあることが少しずつ起こってきた。それはマルチメディアみたいなものが実際にある程度出てきた。80年代になると、パソコン通信を実際に使う人も一部ですが出てきて、だんだんバーチャルでの夢を語る人たちがいて、今その人たちが、例えばSNSが出てきたときに、昔のパソコン通信のフォーラムとかパティオの感覚を思い出しているといったところもあります。なお、今挙げた4つの分析は、花田達朗先生と伊藤守先生が書かれた論文を整理したものです。

 電子政府の構築に向けた取り組みの経過というのは、これは90年代以降、特に94年以降なんですけれど、行政の情報化から始まっています。我々は、2001年以降、e-Japan戦略、e-Japan戦略Uというのはよく聞いた言葉だと思いますけれど、それが出てくる前提として行政情報化推進基本計画というのがあって、最初は行政の情報化というところから始まっています。その後、社会全体の情報化ということで、IT基本法が2000年の11月に成立して、その後e-Japanにつながっていく。その後、電子政府構築計画というのが出てきて、電子政府の実現という目的があげられています。

 電子政府、電子自治体、とくに電子自治体は3つの目的があって、行政内部の効率化、行政手続の効率化・24時間化、市民自治の拡充だったわけです。3つ目の市民自治の拡充はなかなか実現されなかった。もちろんネット上の行政手続で、新聞に使っている人は0.0何%だとかという話が出たりしますが、それよりもおそらく一番充実しなかったのは、市民自治の拡充といった目的の部分だと思います。

 市民メディアとか地域メディアというのは、95年のWindows 95の発売以降インターネットが急速に普及して、インターネットで個人が情報発信できるということで拡がったと考えます。これまで政府がやってきた地域情報化と地域の情報化、私自身は言葉を分けて使っているんですけど、地域情報化といった場合、地域情報化政策とつながってくると思うんです。地域の情報化といった場合は、例えば市民がホームページを作ったり、今だったらブログとかSNSを立ち上げたりとか、そういった情報発信をし始めた、さまざまな取り組みが出てきた、いわゆるパブリックアクセスというのがインターネットの普及によって可能になって始まっています。これまでの(地域)情報化の政策とは異なるベクトルである。それは、上から下というより、下から上というか、もしくは水平的と言った方がいいかもしれませんけど、一方的なものから双方的な関係性になってきたといえると思います。

 マスメディアも少しずつ変わってきているのだろうと思います。地域メディアとか市民メディアというのはまだまだ力が小さいと言われていますけれど、マスメディア、特に地方新聞、地方紙なんかは非常に厳しくなってきているようです。今回、いろんなところに調査に行って、新聞は読みますかと聞くと、読まないという人が結構出てきているんです。どうやってニュースを知りますかと言ったら、基本的にはネットで全部見てしまうとか、あとは携帯で配信されるニュース情報がありますので、そういうものを見ているとか。新聞自体は、じゃ、1面を見ているかというと、1面は見ていなくて、地域の情報、例えば死亡情報、だれだれさんが亡くなったとか、だれだれさんが地域の顔みたいなところで記事になっているものを見る。そのようなほんとに地域メディアとしての地方紙という形になっています。

 それはある意味、地域メディアがかなりやっていることで、地方新聞の記者さんたちはどうすればいいのか。たとえば、現場に取材に行ったときに、取材先の当事者(インフォーマント)が情報発信していたりする人もいるわけで、そうすると、はるかにそのことについては市民、住民、その当事者のほうが知っていたりすることがあるわけです。これまでの啓蒙的な形での新聞、それは地方紙も含めてそうなんですけど、それがもうだんだん成立しなくなっていて、あんまりそんなに昔みたいにありがたがっていないという事態が起こっています。そのような意味で、関係性は変わってきていると思います。

 スライドに、個人の情報取得・発信の変容と書きました。携帯電話は最近やはり非常に使われ出している。佐賀にこの間調査に行ったときに、子育てグループのお母さんたちのお話を聞いたんです。彼女たちはパソコンはあまり使わない。パソコンは子供を育てていると壊されちゃう。携帯は片手で持ちながら使えるといったこともあって、圧倒的に携帯電話を使っているということです。携帯電話の通信費が定額料金とかが導入されて使いやすくなったということも関係しています。携帯電話で、例えば自分自身の参加しているグループのMailing Listの情報を取得して、何かあったら、もちろんメールで出せる人はメールで出す。メールで出すというのは非常に勘違いを生むことがあるかと思うんです。それが心配な人には直接電話する。直接電話することで勘違いが起きないようにしている。あと、どうしても必要なときには、実際に会うということも含めてやっている。パソコンを開く暇がないぐらい忙しいということを言う方も結構いらっしゃって、おそらくこれから携帯電話というのはさらに使われるようになるだろうなということを感じています。

 携帯電話、メール、Mailing List、ホームページ、電子掲示板、ブログ、SNSとかいうのが、大体これまで出てきたツールだと思うんです。最近ではGPSとか地図の機能を使ったものは出てきているわけですけれど、やっぱりそれぞれ上手に使い分けていて、何もみんながSNSとかブログを使っているわけではない。特に忙しい人たちはなかなかそこまでは至らないということがヒアリングの中で出てきて、私たちは新しい技術のSNSとかブログを中心に考えていたところがあったのですが、調査すると、携帯電話やメールが非常に多く使われていることが分かってきました。

 次に、ICTツールの特徴の比較ですが、これは自明のことなのですけれど、携帯電話というのは直接電話して同期性があり、忙しいところにもかかってくる。携帯電話で、メールとかMailing Listを使っている場合は同期性があり、忙しくても送ってきますけど、そうでなくパソコンで使う場合は非同期性だということです。Mailing Listをやる場合に、何でもMailing Listに投げていいよということではないということが、当然のことですがあります。

 SNSは逆に、近況的な情報とか、例えばきょうは何を食べたでもいいわけです。非常に短いコメントとかが中心になっていくので、本格的な議論には向かないだろうと思います。簡単なコメント程度のやりとりであるということ、そして、登録時の詳細な個人情報の登録が必要になっています。これは最近感じていることなんですけど、登録時に非常に細かい、例えば住所の番地まで入れなきゃいけない。SNS以前の、例えば藤沢の市民電子会議室では、神奈川県横浜市ぐらいまででよかったんです。藤沢市に住んでいるとか、藤沢市以外とか、東京都とか、そのレベルだったのが、今は住所と電話番号まで全部入れなきゃいけない。これもおそらく、地域SNSの登録者数、メンバー数を鈍らせている一つの理由だと思います。

 また、最近、詳しい情報を書いて、それがほんとにそうなのかというのをチェックする役割の人がいる後見人システムを導入しているところがあります。そうすると、ほんとうに書きたいことが実名ではちょっとどうかなと思うことが、やっぱりあると思うのです。すごくいいことなのにやっぱり実名では書きたくないな、そういうことが書けなくなっているところがあると思います。環境管理型のシステムで、本音の部分がなかなか引き出せなくなっているのではないかということを私は考えています。
 電子会議室というのはテーマでの議論が特徴ですが、テーマが自分に合わない場合はそこに書かないということになります。

 こうして見てきますと、新しい技術(システム)が必ずしもよいとは限らない。新しい技術が出てきたり、もしくはある技術で何か決定できるかというと、そういうことではない。技術決定論では考えられないんではないかということになります。
 ここから、事例をひとつずつ簡単にみていきます。

 藤沢市の市民電子会議室。これは市民と行政の協働による共生的自治実現の一方策として、市長がリーダーシップをとってやっているわけです。インターネットを活用した市民提案制度というのがあって、市民エリアと市役所エリアがあります。市役所エリアのほうは実名です。市民エリアというのはニックネームで書き込みができる。いい提案が出たら、運営委員というのが市長にその提案を上げる仕組みができています。藤沢の市民電子会議室も詳しくお話しするととても長くなりますので、きょうはこれくらいにします。

 2番目の事例ですが、札幌市の「Webシティさっぽろ」と「ようこそさっぽろ」というサイトがあります。札幌市も実は市民電子会議室「eトークさっぽろ」というのをやって、通信白書に載るくらい注目されたんですけれど、誹謗中傷の嵐に遭ってやめたと聞いております。その経験を踏まえて、じゃ、誹謗中傷が起こらない、市民記者が書いた記事を載せるような仕組みをつくろうということで作られたものです。「Webシティさっぽろ」は札幌市の街の情報サイト、「ようこそさっぽろ」は観光サイトです。この運営はNPOシビックメディアがやっておりまして、非常に洗練されたレイアイトでつくられて、シンプルなんですけど見やすいということが言われています。

 この札幌の事例は、非常におもしろくて、私も何度もヒアリングに行っています。市民からの情報発信をNPOがやるということで、まさにシビックメディアということでやり始められています。ただ、最近では、ほかの同じようなことをやっているNPOなどは、あれはシビックメディア、市民の情報発信じゃなくて、行政の情報発信になりつつあると言うところもあります。これはNPOが抱えている最近の問題なのですけれど、シビックメディアだからというよりはNPO、特に行政への依存度が高い、収益構造が行政の割合が8割とか9割とかのNPOになると、やっぱりそちらに寄り添っていかざるを得ないといったところがでてきていて、ある種の批判みたいなのも聞くようになっています。

 次に、島田市ですが、これは「eコミュニティしまだ」というサイトで、2004年12月24日に開設されています。運営は島田eコミュニティプラットフォーム研究会で、防災科研がシステムデザインをやっています。ここでおもしろいのは、コミュニティ・セルで、1人じゃなくて2人以上、2、3人のグループ(コミュニティ・セル)を中心に、何らかの関心を持っている集まりということで情報発信しているんです。

 しかも、それぞれ情報発信されたことが関係あるんじゃないかということを、例えば水のことがいろいろ書かれたときに、子供たちの夏の遊びといったこと関わりがあるんじゃないか、ブログとブログ、これとこれを結んだら新たな動きが出てくるんじゃないかみたいなことを、管理人のブログで書かれています。結局情報発信を単にばらばらにしても、それぞれ結びつけることがなかなかできないというところは、大きなポイントだと思います。個々にみんながばらばらに情報発信して、それを集約して、これとこれは関係あって、これとこれを結びつけるとすごくいいことができるんじゃないかなという「編集」をやっていく人が、やはり必要です。

 この島田市で注目すべきは、うまくいっている地域とうまくいっていない地域が出てきていまして、実はうまくいっている地域は1つしかないんです。大津地区という地区なんですけど、そこはうまくいっているわけです。島田市の山に近い側で、コミュニティおおつ委員会というのがあります。このコミュニティおおつ委員会の中では、比較的発言も多くされている。例えば25日、きのうの発言もアップされていて、何日も間があくことはないようです。じゃ、何でここがちゃんと使われているのかというのを、実際この間島田に行って聞いてきたんですけれど、島田というのはいわゆる昔ながらの所で、その地区の「おさ(長)」(町内会長さんとか自治会長さん)が、こういうもの(eコミュニティしまだ)を導入するに当たってOKを出さないと、うまくいかない。「コミュニティおおつ」というのは、比較的若い30代ぐらいの人たちも多くいるということと、町内会長さん、自治会長さんみたいな長(おさ)の方が、ある程度こういうことを許容する開かれた人であったからうまくいっているのではないかと考えられます。

 逆に中心部というのは、3年に1回の帯まつりという非常に大きな祭りがあって、そういったときには非常にまとまるんですけれど、なかなか日常的にネット上で何かやるとかいったことにはならないようです。

 八代の「ごろっとやっちろ」については既にオープンソースの問題点等について、先ほどお話ししましたので、ここでは特にお話ししません。

 総務省のSNS、これは2005年5月から、総務省自治行政局自治政策課の委員会で行われています。実証実験の期間が3カ月でして、3カ月で成果を出すのは非常に難しかったんではないかと思っています。アンケートもこの期間にとられてはいるんですけど、初年度の実証実験についてですが、長岡で21人、千代田で26人で、統計的なことが言えるアンケートにはなっていません。アンケートは、少なくとも400票ぐらいないと統計的なことは言えませんので、これではサンプル数が著しく不足しているわけですが、このアンケートをみると、地域SNSに登録して、実際にやっている人が3割程度で、残りの7割は登録はしたけどあんまりやっていないということで、立ち上げ関係者が非常に盛り上がって、一生懸命書き込んでいるという側面があったのではないかと思います。実際に実証実験後、次第にコミュニティへの書き込みが減少して、あまり見なくなったし、多くの人が去っていって、消えるかもしれないねというところも出てくると思います。

 ただ、全部がうまくいっていないかというとそんなことはありません。宇治市などを含む京都山城地域SNS「お茶っ人」というのがあります。宇治というのは住民基本台帳の大量流出の事故を起こしたところで、その経験を踏まえて、市民との新たな信頼関係を構築しようということで、このSNSを導入するかどうなのかということも含めて、市民の方とほんとにひざを突き合わせて検討されて、それで導入を決めたということです。その結果、非常にうまくいっていると聞いています。去年のちょうど今ごろ、実証実験が始まった頃、宇治市IT推進課の中村俊二さんにお話を伺いました。まだまだ走り出したばかりの時だったのですが、コアメンバーの中村俊二さんは非常に人柄のすばらしい方で、そういった方がいて、あと、市民の方の意見をきちっと聞いてやり始めるというのは非常に重要なことだと感じています。これまでヒアリングをしていても感じるんですけれど、運用者とか管理者の人柄というのは、やはりそれぞれの地域SNSの特徴に関わるのではないかということを感じています。

 現在、2007年度の実証実験が行われています。今年度で3年目で、見直しの年に当たっています。来年以降この実証実験が続くのか、それとも実証実験でなくて、一つの新たなしっかりした事業になっていくのか、まだ決まっていません。

 総務省SNSの評価なんですけれど、もうちょっと、3年程度時間が必要だろうと思います。始まって2年ぐらいして、ある程度見えてきつつあると思うんですけれど、やっぱりそもそも何故、導入するのかという目的をはっきり住民とともに行政が考えていかないと難しいだろうと考えています。そうしないと、ツール、もしくはシステムはすごく立派なものをつくったけれど、結局何も使われないといったことになるだろうと思います。

 総務省の地域SNSには、2つ目的があって、ひとつは政策形成への住民参画、もうひとつは住民がふだんから使える居心地のいい場所をインターネット上につくることです。2つめの目的はある程度達成できているんではないかと思います。ただ、実際にほんとうに、総務省のもうひとつの目的である住民参画の手法の一つとしてというところまでは、まだまだ至っていないと思いますし、SNSが果たしてそれにふさわしいシステムなのかなというのも、どうかなという気がしています。それはもう少し後の結論部分でお話ししたいと思います。

 もう一つ感じているのは、やっぱり「閉じてしまう」ということです。ボンディング型になってしまう。ソーシャルキャピタルとかいったことを論ずる方は必ず、ブリッジ型でいろんな地域、人がつながっていかなきゃいけないんだ、それによってソーシャルキャピタルが醸成されていくんだということを言われるわけですけど、それにはなかならつながらないのではないかという気がしています。もちろんSNSの中では一定の成果は出てきています。

 「かわさき・ソーシャルネット」。これはユーザー数が265人と非常に少ないです。私自身が管理人をしているわけですけど、open-gorottoベースの地域SNSで、アクティブユーザーはこの1割程度しかいません。なぜユーザー数が増えないというか、増やせないのかというと、オープンソースがバージョンアップしなくて、システムに欠陥があるのが大きな原因です。ずっと小林さんにお願いするのは申しわけないと思って、ソースの開発をしてくれる人たちを募って、実は開発グループをつくったんですが、結局それも活用できなかった。どうしてかといいますと、開発にあたっては、開発者の小林さんと連絡をとらなければならないのですが、それが難しい。結局、小林さんは、自分で開発するよという話をされて、待っていたのですが、何度も延びて出来あがらないので、違うシステムをそろそろ考えなきゃいけないねということを言っております。

 現在、システムの変更を検討中ですが、これまでの成果として、かわさき学びステーションというものや、インターネットラジオの「ラジオたまじん」などが出てきています。システム的にはいろいろ問題があって、余程我慢ができる人じゃないと使えないものになっているんですけど、それでもやる気があれば使ってもらえるんだなということを感じています。

 「かわさき・ソーシャルネット」というのはそもそも、市民活動グループとか地域でいろんな活動をやっている人たちを、つなげたりサポートしたりするということを目的としていて、リアルに実際に、例えば私自身がお会いした人とかを、できたらつなぎとめられたらなと思って考えたものです。現実と仮想社会、リアルとバーチャルをオーバーラップさせるツールというのができたらいいなと思ってやり始めたものです。ただ、これにはちょっと勘違いもあったなと感じていますが、やっぱりリアルの活動がしっかりしていれば、それなりに成果は出てくると感じています。人数だけでもないとも感じています。

 先程お話ししましたように、Open PNEのSo-net版というのがありますけど、今、このサービスを使って、このような形で「かわさき・ソーシャルネット」をつくり直そうとしています。これは無料で、それこそ1,000人ぐらいだったら使えるなということで、昔だったら考えられないんですけど、こういうものがあっという間に、それこそ半日もあればできてしまうようなものができてきています。これで1度いろいろ試してみて、ユーザーの皆さんの意見を聞いた上でどうするかを考えようとしています。これ以外にも無料のSNSとか、コンテンツマネジメントシステム(CMS)のシステムが出てきていますので、そういうものを使いながら、あんまりお金をかけずに個人でもできるレベルに、最近こういうシステムがなりつつあります。何をやりたいのかというのがむしろ問題で、あとは、どういうふうにこれを組み合わせていくのかということが問題になると思います。

 もう1時間過ぎてしまったのですが、次の事例はブログです。先日、和歌山県の北山村というところに行きました。これはおもしろいというか、村民は520人なんですが、そこのブログポータルなんです。バーチャル村民というのが今現在6,570人います。

 スライドのこの部分に出ているのは、じゃばらというかんきつ類です。花粉症に効くらしいんです。ユズにすごく似ているんですけどユズではない。ただ、ここしかとれない。地域性というか、山間地のこの地方でないとじゃばらにならない。ほかのところでこの苗を植えるとユズになるとおっしゃっていて、不思議なかんきつ類です。(笑)いや、そうおっしゃっていて。信じられないですよね。僕もヒアリングに行ったものの、なかなか納得はしていないんですけど、そういうふうに説明されました。この売り上げが、楽天で今2億円あるんだけれど、それが頭打ちになってきた。これをもうちょっと伸ばしたいということで、新たなこの「村ぶろ」というのを始められた。そうすると、このバーチャル村民、村人以外の人たちが6,000人以上ユーザーになって、今年の日経地域情報化大賞をもらった地域です。

 ここ北山村というのは和歌山県の飛び地で、三重県の中にあるわけです。新宮と川でつながっておりまして、筏などで川下りをやっているところなんですけれど、新宮との関係が非常に強かった。この川のつながりが飛び地をつくったことになります。新宮というのは和歌山県なんです。奈良県の奥まったところに十津川村というのがありまして、その十津川村と隣接しています。その十津川村が10月から「村ぶろ」を間借りして、この「村ぶろ」の自治体会員となって、一緒に地域振興を始めたということが出てきており、非常におもしろい動きだと思っています。

 この北山村は光ファイバー100%で、村の予算で全世帯に光ファイバーを引いています。また、防災無線を上手に使われていて、ほとんど有線放送みたいな使われ方がされていて、地域情報を共有しているということをヒアリングで伺っています。実際に村人のユーザーがどのように使われているのか再度ヒアリングに伺って聞いてくる予定です。

 次のスライドは、民間のブログポータルです。浜松に地域ブログポータル「はまぞう」というのがあります。ここは実際にブログ作成の指導セミナーをやっていて、そこでブログを作ってもらう。ブログを立ち上げてもらって、そこで自己紹介などをしてもらって、広げていっている。なかなかやり始めた頃はうまくいかなかったんだけれど、ある程度継続してやって、6カ月くらいでぼつぼつ程度になり、それ以降ブレークしていった。1カ所大体20人、多いところで40〜50人来てブログを作っていく。実際に自己紹介をして、ブログを作ってもらうことで、ちょっと怪しいな?という人が来た場合に、このセミナーがそう人に対しての防御にもなっている。また、この「はまぞう」は行政とのかかわり合いは薄いということでした。「はまぞう」の管理者の方は、行政が関わると大体だめになってしまうということをおっしゃっていました。これは、浜松という地域性と関係しているのかもしれません。

 この「はまぞう」で非常におもしろかったのは、このブログポータルを始めて、天竜川を越えた交流が始まったということです。浜松市と天竜川を越えた先、掛川とか向こうのほうになっていくんでしょうけれど、そういうところとはこれまでは交流が全然なかった。行政の境目(地域)をまたいだ活動が起こったということが、このブログポータルをやって起こったことです。天竜川を越えてお互いに、例えばレストランに行くようになったということを言われていました。ブログを媒介として1人1人が気づかなかったことに気づきくようになってきたんだろうということをおっしゃっていました。

 次は、西千葉の「あみっぴー」です。これは西千葉という千葉大学の付近にあって、リアルな関係で、実際に会った人しかこのSNSに入れない。オフラインの活動が先にあって、オンラインが補完する道具となっているものです。今、地域SNSの可能性として、例えばこういう形で実際に会った人をつなげていくということは確実ですし、注目に値する。ユーザー間の顔が見える関係というのを重視している。しかも「あみっぴー」は千葉大学の卒業生がまた戻ってきて、学生時代を懐かしむといったこともできるということがあります。

 次は、佐賀新聞の地域SNS「ひびの」です。これは完全に私たちのこれまでの仮説と言いますか、考えていたことが覆されたんです。それは、従来SNS、特に地域SNSの場合は、リアルとの関係性が強く、つながりを持つのだと考えていました。前述しました西千葉の「あみっぴー」なんかはまさにリアルそのものというか、リアルで会わないとだめなわけですけれど、この「ひびの」はそうじゃなくてリアルとの関係性が薄く、非常に緩い関係性が築かれています。ネット上での関係のみで、実際会ったことはない、オフ会なんかで初めて会うということもある。実際に、このSNSの中がどう使っているかというと、ビジネス、例えばビジネスホテルの宣伝として使われていたりしています。あと、もう一つ驚いたのは、地域SNSは携帯のみで参加するというのではなくて、パソコンを必ず使うだろうと思っていたのですが、そんなことはなくて、携帯のみで参加する方もいたわけです。

 この「ひびの」で注目すべきは、ここの設計者・管理人の佐賀新聞の方は、大体120ものSNSに入って、ほかのSNSでの失敗とか反省を生かして「ひびの」を設計されたということです。彼が「ひびの」を、どういうふうに運用しているのかというと、できる限りユーザーのために中立的なスタンスで運用している。「ひびの」を井戸端会議と位置づけていて、あまり干渉しない。非常に緩やかなつながりを作っていく。がちがちにすると、あるときから入りづらくなったりする。いつまでも熱意をもって続けられないので、やめてしまうこともある。そういったことが踏まえられて、この「ひびの」の緩やかなネットワーク、つながりが構築されています。

 「ひびの」のユーザー数は7,000人、これは、地域SNSのなかでは非常に多いですね。これは最初は、この「ひびの」に入るとクーポン券か何かをもらえるという勘違いから入った人もたくさんいるらしくて、これだけ増えたのにはそれだけの理由があるようですけれど、それにしても7,000人のユーザーで、それなりににぎわっており、緩やかな関係性ができているのが「ひびの」です。

 次は、SNSの導入であまりうまくいっていない事例をとりあげたいと思います。浜松の子育てサイトの「ぴっぴ」というのがあります。あと「光が丘ウォーカー」もSNSの機能が加わっています。浜松の子育てサイト「ぴっぴ」は、これまでブログとか掲示板である程度うまくいっていたものが、新たにSNSをこの中に設けたところ、なかなかうまくいかない。「ぴっぴ」のホームページのこの辺に井戸端会議「ぴーこむ」がありますが、うまくいっていないと聞いています。

 このスライドに書いているのは、何故、「ぴっぴ」のなかのSNSを使わないのかという理由です。ネットがそれほど使えないというのと、実際どうやってコミュニケーションをとればよいのかわからないということです。友達づくりをどうやってすればいいのか、もっと人間的な問題ということになっていくわけですけれど、そういうことも、ちょっとしたルールとか、こういう感じで話しかけたりすればいいんじゃないですかというのも含めて、もっとやわらかなものが必要だということです。さらに、やっぱりここは意外と重要ですが、ログインする前に読める場所にいろんなものを置いてほしいということです。ログインして中に入らないと見られないというのはだめだということです。子育て中のお母さん達は、むちゃくちゃ忙しくてパスワードを忘れてしまった場合、それを放置してしまう。そういったこともあってSNSを使わないようです。

 また、「光が丘ウォーカー」というのが練馬区の光が丘団地にあるわけですけど、ここもSNSを導入してそれほどうまくいっていないと聞いております。ここについてヒアリングはこれからですので、具体的にその理由をお聞きしてきたいと思っています。

 次は、open SNPベースの地域SNS、これは「ひょこむ」とか「はまっち」という新しいオープンソースのSNSです。「ひょこむ」というのは1周年を迎えた兵庫県を舞台とした地域SNSです。今のメンバー数は3,172人です。きょう昼間確認してきたのですが、平均年齢が42歳、ミクシィとかと比べると随分高いということがわかります。ここで注目してほしいのは男性と女性の数です。男性2,208人、女性964人。圧倒的に男性が多いわけです。この男性が多い理由というのは、おそらく兵庫県の県庁の方たちがたくさん入っていらっしゃるということがあるのではないかと思います。

 もう1つは、招待中が1,475人であることです。メンバーは約3,000人ですので、その半分ぐらいの人が招待中としているわけです。じゃ、何でこんなに招待中の人がたくさんいて入らないんだろうということですね。このことについては、先日、神戸にヒアリングに行った際に伺ったことが説得力があるように思います。その方によると、市民活動をやっている人たちへ、県の方から「ひょこむ」に入るようにというメールが来ているんだけど、その方は入らないとおっしゃっていました。なぜかというと、「リアルでそういう市民活動の会議に行っても、横のつながりというが実際会ってもできていないのに、何でこれでできるんだ」ということをその方はおっしゃっていました。
 ただ、「ひょこむ」は今、非常に元気がよくて、特にここの運営管理者をやっている和崎さんという方が、このopen SNPのシステムの開発をやっていらっしゃる会社の方でもあるわけですけれども、非常に元気がいい。

 そのシステム(open SNP)を使った横浜の地域SNS「はまっち」が、今年の夏ぐらいから一般公開されています。ここは、現在、メンバー数が617人、平均年齢が37歳くらいです。男性389人、女性200人ちょっとです。横浜については、「I love Yokohama」というミクシィのコミュニティがあるんですけれど、そこは3万5,000人入っているんです。私は、横浜のこの地域SNSが一般公開されたら、「I love Yokohama」のミクシィのコミュニティの人たちはもっと入るだろうと考えていました。あまり増えないのはなぜなのかなと思っています。

 その1つの理由として、例えばSNSだけということであれば、もうインパクトはなくなったんじゃないのかなと考えています。ある意味少し飽きられている部分もあるし、一番最初のほうで申しましたように、1つ当たりの粘着度が非常に高い仕組みですので、幾つも誘いが来たりするとなかなかやる時間がなくて、もういいやということになる。地域SNSに入っている人は、実はものすごく重なっていると感じています。私は横浜の「はまっち」も、兵庫の「ひょこむ」も入っているわけですけれど、たくさん招待状というか、いろんな友達紹介をされるのですが、時間がないわけです。こういう中でどんどん地域SNSが増えていった時に、じゃ、どうするのか。みんなある意味、嫌気は差さないにしても、管理人とか、それに関わる立ち上げメンバーは一生懸命やるかもしれないけど、それほど市民とか住民はお人よしではないし、なかなか時間がない中でこれを使わないだろうということを感じています。

 最後に、参考として、防災科研の「eコミュニティプラットフォーム」です。これはα版で、そろそろ完成してほしいと思っているんですけど、私や東海大学の河井先生なども関わっているものですが、開きながら閉じるということで、基本的には公開ということで、情報は公開してみんなで共有できて、どうしても公開したくないとか、もしくは仲間同士で議論したほうがいいというのは、このマイページなどで、メンバーを限定してやるような仕組みにしたらどうかということでやっています。このように開くということを私たちが強調しているのは、実はROM、リードオンリーの人、書き込みまでしないけど読んでいる人が非常に多いというのを、いろんなところでヒアリングをして感じているからです。よくこういうネット上のツールの話をしていると、ネット上のレスポンスが主に取り上げられますが、ROMも含めて議論する必要があると考えています。

 それは先ほど浜松の子育てサイトの「ぴっぴ」なんかでもそうなんですけれど、ブログへ書き込みは全然ないんですけれどみんな結構読まれていて、実際に会ったりすると、読んでいるよという話をしてくれる。それがインセンティブになって、また新たな書き込みが起こっている。佐賀でも同じことを言われたんですけれど、実際に自分自身が書くブログにレスはないんだけれど、会ったときに、あのことについて書いていたよねということを実際に言われることが結構あって、それで自分自身は書いているんだと。ずっと書いていると、いろんな人が見ているということがわかってくるということです。

 緩やかで多様なICTのツールの組み合わせが可能なプラットフォームをつくっていくということ。佐賀の「ひびの」の設計者が、緩やかに穏やかに、いろんな人をある意味許容してつながるというのは、とても重要なんじゃないかと考えます。今、関心がいろんなことに向かっている。例えば環境のこと、子育て、福祉のまちづくりにも関心があるし、防災にも関心がある。そういう意味では、いろんな個人の関心がハイブリッド化しており、いろいろ複雑に絡み合っているということで考えると、そのような関心をつなぎとめるような仕組みが必要だろうと思います。

 余談になりますが、私自身もSNSの管理人をやったり、幾つも入ったりして、ある意味勘違いをしてやっている部分があるのですが、やっぱり勘違いが第一歩の部分もあって、そこから何か新たなものが生み出せればいいんじゃないかと思っています。それとともに、どんなにネット上で書き込みをやっても地域とか社会は変わらないということを、あるヒアリングでおっしゃっている方がいました。その方は、バーチャルで情報を取得しながら、リアルな活動を熱心にされている。50代中盤ぐらいの方なんですけれど、仕事をやりながら地域での活動を熱心にやっていらっしゃる。あまりICTに過剰な期待をせずに、上手にリアルな活動に活かす実践を行うことが必要だろうと思います。

 さらに、先ほどから言っております、開きながら閉じることが重要だと思います。

 また、このところ研究会などで議論していることですが、地域での活動をやっている人たちというのは、実際情報を発信するに当たって、ハブというより、非常に優秀なインテリジェントルーターみたいな形で、情報をうまくいろんな人につないでいます。

 SNSの問題点としては、個人情報をきっちりとるようになってしまうと、環境管理型のシステムとなってしまい、なかなか自由濶達な意見ができなくなってしまう。SNS上のいろんな紹介とか、その中でのネットワークというのは、自然なネットワークでなく、不自然なネットワークになりがちだと思います。

 そういった意味では、そもそも情報化の目的が、何だったのかというのを改めて考え直す必要があるだろうと思います。過剰な期待はしない。SNSはネット桃源郷だと言っている人がありますが、私はそうではないと思っています。実際いろんなことをやっていくと非常に難しいということを感じています。地域SNSのボリューム、どれくらいの人口規模、ユーザー数だったら円滑に運用できるのかというのも再考する必要があると思っています。市民参加は、従来人口の1%はなかなか超えないと言われていて、市民参加の1%の壁というのがあったわけですけれど、「ごろっとやっちろ」のユーザー数が八代市の人口の約2%になって、ほかのところももっと高い目標設定にして、1割ぐらいを目指すんだということが『地域SNS最前線』に書いてあります。

 僕はこの本を出す際に随分議論して、それは数%でいいんじゃないか、それで十分ではないかと言っていたのですが、目標値として1割になった経緯があります。この1年くらいの地域SNSを見ていると、3,000人ぐらいで停滞しているものが出てきているようです。何らかの問題が出てきだすのはそれぐらいからかなと感じています。また、人口規模として、20〜30万ぐらいが一番いいのではないかと感じています。

 地域の情報化というのは、よりよい地域のために、どのようなつながり方のプラットフォームが必要なのか、ICTのツールの組み合わせとか選択を含めて考えていかなければならない。ここで言いたいのは、SNSだから大丈夫とか、ブログだから大丈夫、そういうことじゃなくて、実際使っている人たちは上手に組み合わせて使っているということです。

 最後のスライドになりますが、まとめとして、例えば多摩川流域ということで考える情報化であれば、目的と対象の再確認というのが必要だろうと思います。何のためにこの情報共有なり情報発信をやっていくのか。例えば遊歩道のコース選定なのか、遊び場をつくるのか、それとも堰を新たに造るのかで、全く違うと思います。ある時は、電子会議室のほうがいいものもあるだろうし、みんなでわいわい、ちょっとしたコメントが施策につながったりということも考えれば、SNSでいい部分もあるかもしれない。

 だれを対象とするのか。みんなが見られるものにするか、それとも限定された人たちにしていくのか、ステークホルダーがある程度いる中で、その人たちに主に議論していただくのか、それともオープンにみんなに議論してもらうのか、それぞれ使われ方、使い方というのは違ってくるだろうと思います。

 それとともに、流域の地域性というのがやっぱり関係してくるだろうなと感じています。例えば川崎で考えると、南部の地域と北部の地域というのは明らかにコミュニケーションのやり方って違うんじゃないかと感じています。南部というのはあまりICTを使わないような気がします。実際に対面する場合が結構多い。北部というのはICTはある程度使われているはずですが、宮前区でやっているポータルサイト「みやまえポータロー」は低調であるようです。それはなぜなのかということについては、今後ヒアリングする予定です。

 最後になりましたが、さまざまな立場の人とMaking communicationするツールとしてICTが活用されなければならないということです。単に情報発信だけではなくて、コミュニケーションをどのようにとっていくのか。気軽なおしゃべりができるSNSでいいのか、それともテーマ設定して徹底的に議論するのか。多様な機能の組み合わせが必要だし、そのようなプラットフォームの構築が必要だろうというのが、結論といいますか、1つのまとめになると思います。どれだからうまくいくとかはなかなか言えない。それぞれ合った形を見つけていくしかないんです。その組み合わせをどうしていくのか、それ自体が問われなければならないだろうと考えています。

 そういう意味では、SNSとかブログとか、新しいシステムをポンと導入するのではなくて、実際に使っている人たちの実態を知った上で、それを踏まえて、プラットフォームを作っていかなければならない、デザインしていかなければならないというのが、これまでの調査などから言えることだと思います。

 ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが、終わりたいと思います。

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