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第4回 河川情報センター講演会 講演記録
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第4回 河川情報センター講演会 講演記録

 デジタルラジオって何?
   〜新しいメディアの防災情報ツールとしての可能性〜

○開催日時 平成19年7月4日(水) 18:00〜19:30
○開催場所 (財)河川情報センター 3F  B・C会議室
○講  師 小川 和之 氏
 社団法人デジタルラジオ推進協会 専務理事
○講演内容
 初めまして。私は社団法人デジタルラジオ推進協会の小川でございます。

 本日頂きました「新しいメディアの防災情報ツールとしての可能性」というタイトルのとおりに、十分にご期待にこたえられるかどうかわかりませんが、デジタルラジオって何だろう。あるいはどういうことができて、これからどうなるのかということをまず基本的な基礎知識としてお持ちいただいて、それをどう利用されるかについては、また皆さんのお知恵の中で考えていただければと思います。まずこのデジタルラジオの成り立ち、内容、それから現状といったものをお話しして、最後のほうで今後の展開というような形でお話をさせていただきます。

 それでは、まずパワーポイントでご説明いたします。デジタルラジオというのは免許上の名称は「地上デジタル音声放送」といいます。つまり音声を中心としたデジタル放送ということでございます。

 皆さんは通常デジタルラジオというと、ただ音がデジタルになって良くなるだけじゃないかというふうに思われる方もいらっしゃると思うのですが、現在のAMやFMラジオとは異なる新しい放送です。まずその入り口として、特徴とメリットというところからお話をさせて頂きたいと思います。デジタルラジオは、ワンセグなどと同じようにデジタル技術を使うことによって、高音質、CD並みの音質とよく言っていますが、音質が非常に良くなる、FM以上の高音質が得られるということが1つ。それから音声放送に加えて、デジタル技術によっていわゆる写真のような静止画や、動く映像、簡易動画等を送ることができます。

 

 このパワーポイントの中で、生活情報とか交通情報、ニュースと書いてありますが、ここに河川情報などのデータも入れることが可能です。つまりデジタル技術というのは、例えば1つの決められた道路で、今までの何倍もの情報を送れるという技術ですので、今までの音声の情報以外にいろいろなものが送れるシステムだというふうにご理解いただければいいと思います。

 それともう1つの特徴は、これはワンセグと一緒なのですが、移動体に適しているということです。つまり携帯であるとかカーナビ、こういうものに非常に強いという特徴がございます。

 それとデジタル技術によって情報が非常に多く送れますので「多チャンネルが可能になる」、後で申し上げますが、音声放送だけで言えば、1つのチャンネルで最大6つの放送が可能になるということもございます。

 それから3つ目の点「モアサービスとしての多彩な編成」としてありますが、地上デジタルテレビ放送との大きな違いが1つあります。地上デジタル放送、通称「地デジ」というのは2011年をもって現行のアナログテレビが完全にデジタルに切りかわります。つまり、アナログテレビがなくなってデジタルテレビに変わります。ところがこのデジタル音声放送、デジタルラジオは現行のAM/FMのアナログ放送波を存続しながら、新たなサービスとして登場してきたものです。例えて言えば、テレビを例にとると、地上波のテレビに加えて新しいサービスとして衛星放送やCS放送などが開始されましたが、それに似た状況だといえます。

 それからまたデジタルラジオの特徴として、ラジオの最も得意なところである、マン・ツー・マン的な情報の交換、双方向の機能があるということです。

 次に、このデジタル音声放送がどうやって生まれてきたかということをご紹介しようと思います。1998年に出された、総務省の「地上デジタル放送懇談会」の報告書の中で、デジタルラジオ放送について、幾つかの基本的な考え方が示されました。1つ目は「新規のサービス」だということです。先ほど申し上げましたように、アナログのAM/FM放送を存続させたまま、新たなサービスとしてこのデジタルラジオを設置するという考え方です。

 それから使用する周波数ですが、現在の周波数帯域の中で空いたところがなかったので、当面、今、アナログテレビで使っていますVHF帯の空きチャンネルを使用するとことになりました。やがて2011年7月にテレビが完全デジタル化をした後は、大きく変わってきますが、実用化試験放送の中ではこのVHFを使うということで考え方が決まりました。現在、東京で言いますとTBSとフジテレビの間の7チャンネルを使って放送をしています。

 また、既存のラジオ局以外にも新規参入の事業者を歓迎するという考え方で、現在、実用化試験放送の中では、例えば伊藤忠さん――商社ですね――が番組を放送しています。以上のような考え方に基づいて、平成10年以降、技術基準などの制度整備が行われ、平成13年10月、まず社団法人の私どもデジタルラジオ推進協会が設立されました。平成15年10月、2003年10月から東京と大阪で実用化試験を開始したということでございます。

 次に、現在どういう形で放送しているかということをご案内いたします。

 テレビの1つのチャンネルは、6MHzの帯域で13のセグメントを放送に使っています。後ほどまた説明しますが、今携帯で放送している「ワンセグ」が13個分、13セグメントで1つのチャンネルがつくられています。例えばNHKの第1にしても13セグメント、ほかの民放も1つのチャンネルで13セグメントを使っていますが、デジタルラジオが使っています7チャンネルは、8個のセグメント分で構成されています。つまりテレビのチャンネルより2つ少ない8セグメントを利用して放送しています。

 なぜ7チャンネルが8セグメント分しかないのか正確な情報は得ていませんが、戦後、周波数を割り当てるときに、周波数帯の上と下から6MHzずつ決めてきて、真ん中にあたる7チャンネルがちょうど8セグメント分しかなかったという話を聞いています。このようにVFHの空きチャンネルを使っているために、使える帯域に限りがある中で、現在の実用化試験放送を行っている状況です。

 では、その放送の形態はどうなっているかといいますと、1セグメント放送と3セグメントの2つの形で放送を行っています。1セグメントというのは、今申し上げましたように地デジのワンセグと同じです。これが基本単位になっています。現在、多くの局がこの1セグメント形式で放送を行っていますが、東京で言うとFM東京さんだけは3つのセグメントを使って1つの放送を行っています。つまりデジタルラジオは1セグメントを使った放送と3セグメントを使った放送の両方を出しているわけです。

 無線局の目的としては、これは超短波放送に当たり、東京と大阪でそれぞれ独自の免許をもらって放送しています。送信出力も東京は2.4kW、それから大阪は240W。東京の場合は東京タワーから送信、それから大阪は地デジなど同じ生駒山から送信しています。これについてはまた後ほど詳しくご案内をいたします。

 では、実際の放送がどういう形で流れているのかということがこの図でございます。今申し上げましたように、東京、大阪それぞれのチャンネルで、各放送局が番組を供給していますが、それを私どもDRPの中にある通称マスター室、主調整室に集めまして、それを東京タワーの中にある送信室に信号を送り、東京タワーから電波として発信しています。大阪は、ツイン21MIDタワーに私どもの大阪オフィスがありますが、そこのスタジオから生駒山に送り、放送しています。

 実際に東京タワーをご覧になったときにちょっと観察していただければいいんですが、特別展望台の下のところに、カニの足が開いたようなアンテナがございます。2段・双ループといいますが、東京タワーの周面のぐるり9面を使っています。ちなみに「地デジ」はその上のほうの場所を使って送出しているということでございます。

 次に放送エリアについてご説明します。関東圏は、今年2月に送信出力を800Wから2.4kWに上げました。その結果、大体のエリアの目安として、今ここにありますような、東京を中心としまして埼玉、神奈川、千葉の一部ですか、そのあたりに電波が出ています、。800Wから2.4kWになって出力が3倍になりましたが、いろいろビル陰の障害などがあって、大体届く範囲は1.6倍ぐらいです。世帯数で言うと、これまでが490万世帯だったのですが、この東京タワーから出ている電波が届く範囲は700万世帯ということになります。

 こちらが大阪のアンテナです。生駒山のアンテナ群の中にあって、NTT西日本の中継所の屋上につくられたアンテナから放送を出しています。ご覧の地域が、大阪の放送エリアの目安でございます。大阪についても、やはり出力に限りがあるので、一応大阪を中心として奈良とか京都、それから兵庫の一部ということになっています。

 先ほど申し上げましたように空きチャンネルを使っているために、あまり大きい出力を出しますと、東京で言えば隣接の周波数を使っているTBS、フジテレビの映像に影響が出る恐れがあるということで、現在出せる出力、2.4kWによる受信可能エリアがこの範囲だということになります。

 次に、どんな内容の放送をしているかということをご案内いたします。

 まずチャンネル構成というのは、NHKから始まって一番右のFM東京まで、数で言うと1、2、3、4、5、6、7つありますけれども、この9101chの一番左のNHKが、1セグメントの波を全部使っています。隣の9201chで、FM横浜、BAY FMが共同で2分の1セグメントを使い、それから9202chのTBSラジオが残りの2分の1セグメントを使い、あわせて1セグメントを使用しています。ですから1つのセグメントを2分の1ずつに分けて、片方をエフエム横浜とBAY FMが、もう片方をTBSラジオが送出しています。

 1つのセグメントで単純な音楽だけであれば6つのチャンネルが使えることからこういう形になっています。NHKの場合には、3月いっぱいまでは、実際には5分の4チャンネルを使って、残りの5分の1チャンネル分を使ってVICSさんが、常時交通情報を出していました。おそらく将来、河川情報を入れようとすればこういう形になるのではないかなと思っています。2分の1セグメントでも立派に映像のついた音声が出せるという意味で、以上のご紹介いたしました。

 この他の9301chが文化放送とNACK5、9401chが伊藤忠、9501chはニッポン放送というふうに、それぞれ1セグメント放送を行っています。そして一番右のFM東京さんは、3セグメント放送、3つのセグメントを使っています。実際はそこをまた3つの番組に分けて放送しています。

 それに対して大阪は9102chがNHK、これは東京と同じ1セグメントを使っています。一番右のFM大阪さんは、FM東京さんと同じ3セグメントの帯域を使って独自に編成しています。真ん中の9201chから9501chのところ、ここは関西の放送局が共同して番組を制作しています。つまり東京はそれぞれのチャンネルごとに独自の番組をつくっていますが、大阪は、NHK,朝日放送、毎日放送、ラジオ大阪、FM802、伊藤忠、FM大阪が、共同で出資して幾つかの番組をつくって、それを時間差で、例えば9501chでAという番組を8時にやったら、9301chは9時に編成するとか、時間差で共通した番組を出しています。これは予算的な問題もあるかと思いますが、免許も別々ですので、そういうやり方をしているということでございます。

 この表が、いわゆる東京の番組編成表で、私どものホームページに出ておりますのでご興味のある方はご覧いただきたいと思います。

 次に、デジタルラジオ受信機の状況について少しご紹介いたします。

 昨年12月、KDDIのauさんから、初めてデジタルラジオが受信できる携帯電話が市販されました。携帯にワンセグと同じようにデジタルラジオが受信できる機能が入りまして、今年6月末の段階で、全部で5機種、契約ベースで100万台を超えました。

 こうした状況を考えますと、実用化試験放送とはいえ、やはり一般のユーザーが視聴しているということから、中身を更に充実させて行くことが必要になります。普及の観点から見れば当然ですね。最初に聞いたユーザーが「何だ、この内容は」と言われたら結局、普及は難しくなります。やはり「デジタルは音がいいね。ソフトも魅力的だ」となって普及が進んでゆく。そのため、各放送局に、デジタルラジオならではの独自の番組開発を進めて貰いました。

 例えば、一例ですが「OTTAVA」。これはクラッシック専門局です。TBSラジオがクラッシック専門のユニークな放送を流しています。この種の番組は日本で初めてのことだということですが、既にCMも中に入っています。実用化試験放送の中でもコマーシャル入りの放送は可能ですので、「OTTAVA」は今、これを大々的にPRしています。あわせてこのOTTAVAの場合は、インターネットでも同じものをインターネットラジオとして出しています。

 その他、例えばニッポン放送の「Suono Dolce」、これは丸の内から発信するラブソング専門局。先ほど申し上げましたように、現在のAMとFMのアナログラジオがずっと続く中で新しいサービスとして、やはり皆さんに注目され、興味を持たれる内容でなければいけない。つまり総合デパートに対してやはり専門店的なソフトが必要になってくるということで、各社、今、研究・開発をしているところでございます。

 これは9101ch、東京のNHKの番組表の拡大したものでございますが、このようにメーンの放送というのがありまして、そのほかにサブチャンネルとして3つ、サブ1、サブ2、サブ3。それから独立のデータ放送としてニュースとか天気予報を送っています。3月までは、VICSさんが交通情報という形で情報を流していました。つまり、皆さんがごらんになるいわゆるワンセグの中にこれだけの情報量が入るということでございます。

 また、デジタルならではの仕掛けとして、例えば、これは「きっず・いんぐりっしゅ」というNHKの番組ですけれども、画面の「きっず・いんぐりっしゅ」の中のあるこの「りんご」の絵のところをクリックすると「アップル」という英語音声が出てきます。視聴者には、あたかも同時に幾つかの放送が流れているかのようにみえますが、この「アップル」という英語音声はさっきのサブチャンネルに言葉が入っていて、ユーザーがここをクリックすると、音が出てくるしかけです。NHKが開発して、現在放送中ということでございます。

 それからこれもNHKですけれども、今放送している料理番組などを、データつきで放送することによって、それをクリックするとレシピが出てくるというようなことが可能です。つまりもう今や、ラジオを超えた放送になりつつあるということでございます。

 以上,現在の放送についてご紹介しましたが、DRP、デジタルラジオ推進協会ってどんなところかいうことをよく質問されます。そこで、私どもの協会について、少しご説明させて頂きたいと思います。

 まず先ほど申し上げましたように、設立は2001年10月です。当時新規参入も大いに歓迎ということで、放送事業者だけではなくて例えば松下さん、ソニーさんのような大手の受信機メーカー、それから広告代理店、広告会社、それから伊藤忠さんのような総合商社、KDDIさんのような通信事業者。デジタルテレビでは、地上デジタル放送の推進にあたる「デジタル放送推進協会(Dpa)」がありますが、そこと同じように,ラジオのデジタル放送に関係する社が会員という形になってご参加頂いています。

 正会員というのは実際に放送を出している会員が中心ですが、現在17社。それから賛助会員というのは、それに対していろいろ支援していただく会員です。賛助会員になる大きな理由の1つは、デジタルラジオに関するいろいろな技術情報の入手やテストストリームの利用があげられます。製品を開発するときに、実際に電波を出して機器の具合を確かめたりする作業が必要になります。

 現在53社、地方のラジオ放送局もありますけれどもメーカーさんも多く参加されています。最近の傾向としてここのところ賛助会員が増えてございます。今年4月に入って5社ほど、そのうちの1社は海外から初めて来まして、韓国のチップメーカーです。これから韓国でもデジタル放送を始める準備をしているようですが、韓国でもやはりそういうメーカーさんがいち早く目をつけて、私どもの協会の会員になりたいと希望され、間もなく認められることになるかと思います。

 以下、ここに組織的にずらずらと書いてありますが、いわゆる理事の機能の下に、事務所が2つあります。今、私がいるところの東京タワーの東京事務所、つまりそこから東京の放送を出しているわけですが、大阪にも大阪事務所がありまして、この2つで実際の事業を切り盛りしています。

 この他、正会員社を中心に運営委員会というのを構成しています。組織や事業にかかわるあらゆることを決定していく機関でございます。この下に、さまざまな委員会がぶら下がっています。技術委員会だとか編成委員会だとか、普及広報委員会とか。実は、私ども事務局の職員は東京に8人、大阪には5人しかおりませんけれども、この人たちを含めると100人、200人の規模になって参ります。毎週のように各種会議が開かれていまして、実際の運営を手伝ってもらっているということです。重要な項目についてそれぞれの専門委員会に宿題を出して、そこでリポートを出してもらって実際の運営に当たるという形をとることもあります。

 次に事業概要としまして、当然、地上デジタル音声放送の実施ということがメーンですが、そのほかに実用化試験放送ということで、あらゆる放送サービスの開発を行っております。後ほど、またご紹介します。それから地上デジタル音声の需要動向に関する調査研究。それと当然ですが、地上デジタル音声放送の受信の普及推進。ようやく昨年12月以降、auさんが携帯電話の受信機を出していただきましたし、その他、パソコンでデジタルラジオが聞ける受信機も現在2社ほど出して頂いています。

 それから「地下街などにおける放送の不感対策を実施するために必要な再送信設備の整備・保守・管理及び提供」。何のことかわからないと思いますが、実は昨年度、総務省さんのほうから公益事業として地下街、例えば八重洲とか川崎地下街・アゼリア、この地下街でワンセグやラジオが視聴できるようにしたい。それを公益事業として実施したいというお話があって、DRPが事業を引き受けました。

 今年4月から、ワンセグをお持ちの方はぜひお試し頂きたいと思いますが、八重洲地下街に行くと殆どのメーンストリートではワンセグが受信できます。それとFMが受けられます。残念ながらデジタルラジオはまだ設備が導入されていないために受けられないのですが、将来は可能になるような拡張性を持たせています。川崎のアゼリアさんも同様です。この2事業を昨年度開始いたしまして、そのためにDRPの定款を変更致しました。今年度も、大阪ほか候補を上げて準備をしていますが、総務省さんと連携して、できれば3カ所ほど、最低でも2カ所ほどの事業を推進してゆきたいと考えています。

 目的はやはり安心・安全情報と言うことで、これは皆さんにもかなり関係があると思うんですが、この事業費の半分を国から補助して頂いています。かなりな額でございますが、やはり地下街における安心・安全情報ということに役立つということが、補助の大きな理由だと思います。私どもとしては、これを弾みにして、他の地下街でも安心・安全情報が受けられるようなことを今後も進めていきたいと思っています。

 それでは、デジタルラジオは今後どうなって行くのかという点についてお話させていただきます。我々としては現在、実用化試験放送を実施していますけれども、やはり本放送の実施というのが目的です。昨年、デジタルラジオは白紙になって、もうやめるのではないかといったニュースが全国紙にも出ました。これについてはみなさんもニュースなどでこれまでのいきさつをご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、その辺の経緯も含めまして、ご案内したいと思います。

 もともとこのデジタルラジオが始まったときに、一方でワンセグが開始されるなどデジタルラジオを取り巻く環境が急速に変化することが予想され、当初の予定の2011年7月を待たずに、もっと前倒しで本放送にすべきだというような考えが持ち上がりまして、そのための準備が始まりました。前倒しの理由として、地上デジタルテレビジョン放送、地デジの順調な発展。それからBSも含めまして競合メディアが続々登場してきていること。それから当然のことですけれども、通信と放送の連携が非常な勢いで進んでいることなどがあげられています。

 こういう状況の中で、懇談会では、まず目標として、今の放送の制度整備の枠内で、先行普及期と本格普及期に分けて普及をさせることが第一だということになりました。当初の予定ですと、2006年で東京と大阪で本放送を開始し、2008年には東京、大阪以外に、札幌だとか名古屋だとか大都市で放送を開始しようという目標が立てられました。しかも、先ほど申し上げましたようにAM/FMを続けながらのモアサービスだよということで、放送の形式として在京のラジオ社が集まってマルチプレックス・ジャパンというものをつくり、いわゆるプラットフォームというものですね、それをつくって放送しようという動きがありました。

 具体的には2005年にマルチプレックス・ジャパンという会社の設立発起人会が立ち上がって、2006年度中の本放送を開始することを目指しました。主だったところはFM東京、TBSラジオ&コミュニケーション、文化放送、ニッポン放送、J−WAVE、このあたりが核になって始めたのですが、実は昨年の夏に、これが白紙になってしまいました。

 その大きな理由のひとつとして、一方で検討が進んでいました周波数の再編・電波の有効利用というものがありました。実はそもそも電波行政の大きな流れの中で、2003年10月に「周波数の再編方針」というのが出まして、UHF帯については2011年以降、移動通信に利用し、VHF帯については、私どもも含めた地上デジタル音声放送ほかの今後のニーズを踏まえて、新しいものに割り当てるということが決められました。具体的には、再編後の空き周波数、つまりテレビのデジタル化によってできる空き周波数の有効利用を考える必要があるということで、2006年から検討が開始されました。

 ちょうどそのころ、我々としては早く本放送にしたいということで動き始めていたのですが、例えば出力をどうするんだとか、あるいは実際の運営はどうするんだというようなことについて、もろもろ準備が長引いてしまったという経緯があります。そうした状況の中で、周波数の再編という議論が正式に開始され、大きな流れになってまいりました。そうした流れの中で、結果的に、我々の進めていた本放送が、やはり先送りになってしまったという事情があります。現在は、2011年7月以降の本放送を目指して、実用化試験放送を行っているという状況であります。

 では、次に現在の電波の状況をご紹介いたします。皆さんはもうこれはご存じですね。現在の周波数というのはパワーポイントのこの一番上の段、一番左からアナログテレビ、その上をデジタルテレビが使っておりますが、これが2011年以降になりますと、アナログテレビがデジタル化することによって必要周波数帯域は縮小されます。そうするとこの辺に空き帯域が出てきます。この空いたところにテレビジョン以外の放送を割り当てるということになったわけです。ここが、我々が電波を欲しいといって主張しています帯域、2011年以降、本放送として参加したい帯域ということであります。

 この全体の空き周波数は、V帯、U帯を含めまして約130メガありますが、この130メガの有効利用をめぐって、昨年1年間、かなりの議論を進めてまいりました。その議論の土俵になったのが情報通信審議会の情報通信技術分科会です。技術的要件をまず決めようということでこの分科会に下りたわけですけれども、そのもとに電波有効利用方策委員会というのが18年4月にでき上がりました。この委員会が、パブリックに2011年7月以降の空いた電波帯を利用する提案を募集しました。その結果、提案してきた企業数が約100社。システムの数で言うと149提案。これだけの量のシステムに対しては、とても電波が足りないということで、それぞれの提案されたシステムを、共通化できるものにまとめる類型化作業が必要になってきて、この電波有効利用作業班が立ち上がったわけです。

 その作業には我々、提案した者も参加いたしました。その149のシステム提案を、大括りに「自営通信」、「ITS関連」、それから「電気」、「デジタル放送」等に分けて、これらのグループで議論を重ねてまいりました。私はこの中の「デジタル放送」の「デジタルラジオグループ」、20数社ありましたか、そのまとめ役で、この議論に代表として参加しました。

 作業班は、第1回目が昨年7月です。この間、夏休み返上で膨大な量の資料に目を通して、類型化作業というのを行ってきまして、最終的にトータル8回行われ、その結果が6月21日の親会の「電波有効利用方策委員会」に報告書として上げられました。その後6月27日の「情報通信審議会」にかけられ、承認されたということです。

 このことによって、2011年以降の電波の使い方の大枠が決定されました。

 VHF帯でいいますと現在のテレビの1chから12chまで、全体で70メガヘルツありますが、それを自営通信――自営通信というのはいわゆる消防無線だとか警察無線などです――そういうところと放送とで半分ずつ、数で言うと35メガヘルツずつで両方分けて使うという方針が示されました。ただしその分け方は、普通なら半分でぱっと割ればいいんですが、放送用には二つの帯域、今のNHKの1chから3ch、これはVHFの帯のローバンドといいますが、ここのところと、それから上のほう、チャンネルで言うと10chテレビ朝日の真ん中ぐらいから12chぐらいまでのハイバンドということになりました。

 何でこんなことになったかというと、これは例えば携帯電話などで放送を受信すると、低いほうですとアンテナを相当長くしないといけない。Vの高いほうであるとVの低いほうよりは携帯用のアンテナが短くて済むということがありまして、一応この2つの場所に分けられたわけです。

 この2つの場所には、実は今3つのグループがひしめいています。1つは私どもデジタルラジオグループ。それからもう1つはテレビ局とか商社さんなんかが提案している、いわゆるテレビでもラジオでもない放送、通称マルチメディアといっているんですが、例えば大容量のダウンロードをするだとかそういうことの提案があります。それと地域のコミュニティーFM。この3つがこのピンクの部分にひしめいていまして、今後1年間の間にその3つのグループがどれだけの周波数を、どの帯域でとれるかというのが決まってくる
ことになります。私どもにとってはこれがまさに正念場であります。

 では海外では デジタルラジオはどうなっているのかというご疑問があると思いまして、ちょっと調べてまいりました。まず一番先輩としてはイギリスです。イギリスはBBCが1995年9月から全国展開をいたしました。そのほかにDigitalOneというのも始めていて、今、最も進んでいます。これは2004年現在のデータですけれども、人口のカバー率が86%という普及です。それからドイツ、フランス、カナダ、米国。米国はちょっと普及が遅れているようですが、ドイツが1999年の開始、カバー率としては82%。それからフランスはまずパリで97年に始めて、まだカバー率としては25%程度。これは2004年のデータですから、最近はもっと上がっているかもしれません。カナダも98年から始めて35%ということです。以上は主要な国として挙げましたが、これ以外に国旗をずらずらと並べましたが、これだけの国が規模の差、方式の差はありますが、もう既にデジタルラジオ放送を実施しています。アジアで言うと、シンガポールなども既に実施しています。

 ヨーロッパでは、デンマークとかフィンランド、イスラエル等々も含めて1つの方式、イギリスのやっている方式が採用されていまして、その方式で送出している放送は、およそ1,000万人以上が視聴可能になっているということです。いずれにしてもデジタルの流れというのは世界的な潮流でありまして、既にテレビはもうデジタル化していますし、先ほど申し上げました今残っているAM/FMのアナログも、未来永劫にアナログのままで行くのかどうかというのは大きな議論で、おそらく将来的には、デジタル化は必要になってくるだろうという気が致します。

 あと、ここには載っていませんが、実は2カ月前、韓国のKBSから私どものほうに取材クルーが来ました。私はビデオ出演という形でお話したのですが、今日申し上げたような日本でのデジタル放送の現状を取材して帰りました。5月でしたか、KBSが主催するデジタルのシンポジウムで私の話と、それからイギリスでやっているDRPと同じような団体がありますが、そこの代表者の方の取材をして、シンポジウムでお使い頂いたというふうに聞いております。その他台湾、それから中国あたりも関心を示しているという状況。それから、ブラジルもこれからやるということで、やはりかなり関心は高まっています。

 そういう中で、先ほど昨年の12月から受信機が出されましたというふうに申し上げましたが、皆さんも行かれたことがあるかもしれませんが、毎年、幕張メッセでCEATEC JAPANというのをやっています。ここを見ると大体今後の趨勢といいますか、動向がわかるわけですけれども、数社がデジタルラジオ受信機の試作機を展示していました。私どもDRPもここにブースを出しまして、私どもが持っている試作機を置いて会場に来て頂いた方に視聴体験していただきました。

 またこの画面にある受信機は、先ほど申し上げました携帯ではなく、パソコンのUSBに差し込んで使う受信機です。ピクセラという会社が展示していたものですが、実はピクセラさんは既に放送局用に、プロフェッショナル・ユースとして使う受信機販売しています。この写真はドコモさんの試作機です。それからこれはauさん、それぞれ昨年10月の段階で、試作機として発表されていました。

 そして、これが現在市販されている受信機です。

 auさんからは、昨年12月以降5機種出て、当然ワンセグと共用でございますが、間もなく6機種目が今月末ぐらいに出ると思います。先ほどご紹介しましたように、6月末のKDDIさんの発表によると5機種目までで、契約ベースで100万台を突破したということです。これはデジタルラジオ単体というよりも、ワンセグと共用ということが大きな理由になっていると思いますが、いずれにしましても受信機の普及は、デジタルラジオの普及につながるということで、大歓迎です。

 このほかにも、先ほど申し上げましたようにUSBタイプのパソコン向け受信機、この左側がピクセラさんから市販されているものです。これをつなぐとパソコンでデジタルラジオが聞けます。このピクセラさんからは、2機種目が今月末だと思いますが発売されます。主に量販店向けに出荷すると聞いています。それから一番右がもう1社、SKネットさんというところが発売したピクセラさんと同じようなパソコンにつないでデジタル音声放送が楽しめる受信機、当然ワンセグも受信できるような共用機になっています。

 それから今後、最も期待するのはこのカーナビ型です。ラジオ、音声放送というのは車には最も適していますよね。ワンセグだと運転中には画像を楽しめませんけれども、音声だと運転しながらも聞こえるということで、我々はこれに非常に注目をして、今年度中にあるアクションを起こそうかなと思っています。私どものところにお出でになるメーカーさんの中に、既にデジタルラジオの受信できるカーナビを開発したいというところも出てきております。

 それから当然こちらの据え置き型、固定の受信機、本放送が2011年7月に、今の地デジが完全に移行になれば、メーカーさんも、もっといろいろな機種を出していただけるのではないかと期待しています。

 次の「デジタルラジオはどんなことができるのか,どんなサービスが可能なのか」という皆様にも関心の高いところについてご紹介します。
少なくとも我々が今やっているラジオのデジタル音声放送というのは、大きな概念として、地デジも含め、映像でも音声でもデータ放送でも放送波で送れる、ある種大きなマルチメディア放送の一環だと思っております。

 そういうことからすると、まず音声中心の高音質というのは最大の売りですけれども、そのほかのデータ放送だとか簡易動画などの映像に加えて、新たなサービスとして、ダウンロードサービス。例えば、放送で流れたものをそのままダウンロードする、いい曲があったらそのままデジタルラジオの受信機に蓄積するということも可能で、今、我々はその技術規格の検討をしているところです。有料、無料を含めて、こうしたダウンロードサービスというものが可能になってまいりますと、今聞いている音楽を蓄積することもできるし、それから直接オンタイムでとりにいくこともできるようなことになるでしょう。

 ダウンロードサービスというのは、ビジネス展開としても有効なサービスといえます。それから、例えばどこかの店舗とタイアップして割引クーポンを、デジタルラジオを聞きながらダウンロードできるであるとか、ある放送局がポイント制でその番組を聴いたらポイントがたまって後で景品を提供できるとか、ラジオショッピングで物を売ったり、チケットの購入をしたりということもデジタルならではの技術として可能になってまいります。こうした新たな放送サービスについて日々メーンの編成を続けながら、さまざまな実験をしているところです。
 
 最後に今後の展開についてですが、先ほど申し上げましたように、本放送の開始時期は、現段階では、2011年7月、今のテレビが完全にアナログからデジタル化された後ということになります。あと4年ありますけれども、各種システムの開発をするというのは1年ぐらいすぐ経ってしましますので、私どもDRPとしては今年度中、つまり2007年度中に2011年までのロードマップ、あるいは2011年以降どうするのかを考えなければと思っています。

 たとえば、例えば送信のアンテナにしても、業平橋のところに新東京タワーが建つ構想がありますが、デジタルラジオの送信施設として、今の東京タワーから出すのか、或いは新東京タワーを使うのか,それによって、送信の設備も含めやはり予算のかかり方も違います。新東京タワーは既にテレビ局とは今年中に契約を済ませるようです。ところが、デジタルラジオは、DRPがそのまま本放送をするわけではなく、やがてデジタルラジオ放送をしたいという事業者が、免許申請をして新たな免許人となって本放送を実施することになります。そうすると、新タワーの会社に対して我々DRPが「新東京タワーのスペースをこれだけ使います」というのは言えません。けれども、一方でこれからデジタルラジオ放送の事業を始める人たちがこのぐらいのスペースでここにアンテナを置きたいというものをある程度見込んで想定しておかないと、後になって新東京タワーを使いたくても、困難になってしまうという状況も考えられます。

 こうした状況を考えますと、この3年、4年というのは長いようで短くて、今年度中、ひょっとしたら今年中にある一定程度のロードマップをそれぞれの社がきちんとつくって事業計画を立てていかないと、このデジタル化の動きにはなかなか追いついていけないのではなかろうかと思っています。昨年の何月でしたか、民放連で私がシンポジウムに講師で出たときも同じような話をしましたが、まさに今そういう状況でありまして、これから7月末から8月にかけておそらく始まります総務省内の制度整備のための懇談会、およそ1年弱と言われていますが、ここで相当な議論がされて、我々デジタルラジオの2011年以降のあり方が決まってくることになります。

 ですから我々としてはこの1年間、サービスの内容、編成のあり方、それから組織のあり方、2011年以降の本放送のあり方、それからワンセグとの共用、マルチメディア放送としてのビジネスモデルのあり方等々、課題はいっぱいありますが、十分に検討してゆかなければと思っています。

 そういう中で、例えば今後の考えられるコンテンツのひとつとして、皆さんの河川情報センターがお持ちのデータを放送の中でどういう形で利用していくのか、私は可能性が大いにあるだろうと思っています。前例を挙げれば、NHKさんが放送しているセグメントの中の、5分の1のチャンネルを使ってVICSさんが交通情報を提供していました。既に放送している放送局が了解すれば同様なことが可能になるでしょう。

 また、話は少し変わりますが、昨年、ある社がデジタルラジオのどこかのセグメントを使って安心・安全情報チャンネルをつくりたいという希望を持って参りました。実はまったく新しく放送を始めるには、いろいろ億単位のお金がかかりますが、何とか出せるというところまで行ったんですが、今のところちょっと白紙に戻っています。ただ全体の動きとしてはそういう流れができてきています。

 現在さまざまある情報の中で、安心・安全というのは1つのキーワードになっています。そういう安心・安全情報が新しいメディアの中でどういうふうに使われていくのか。あるいは視聴者にとっての有益な情報としてどう活用されていくのか。これはこれからの大きなテーマになってくると思います。

 我々はこれからさまざまな多チャンネルの時代を迎える中で、当然エンターテインメント情報というのは必要ですけれども、その中でやはり安心・安全情報というのは1つの重要な情報じゃないかと考えております。

 聞くところによりますとワンセグの中で岐阜と京都でNHKが、河川情報をデータ放送の形で4月からもう既に流していると聞いています。これもそういう流れの一環だろうと思いますし,やがて大きな流れとなってきっと出てくるのではないかと思います。

 ただしそうしたことが、民放など商業放送でビジネスモデルとして、どうなっていくかというのはこれからの課題ですけれども、おそらく将来的にいえば可能性はある。ワンセグとかデジタルラジオとかマルチメディア放送に限らず、多チャンネル時代を迎え、その中の1つのチャンネルとして安心・安全情報が定着するということは十分ありえます。その中には、交通情報も天気予報もありましょうし、あるいは河川情報もありましょうし、可能性として大いにあるのではないかと思っています。

 長々、1時間を過ぎてしまいましたが、皆さんにとってはあまりご関心ないところも内容的に含まれていたかもしれませんし、もともとのテーマに沿って全部お話できたかどうかというのもちょっと不安でございますが、一応この辺で私のお話を終わらせていただきます。

 なお、デジタルラジオに関する情報は私どものホームページで逐次更新しておりますので、ぜひごらんいただければと思います。

 本日はありがとうございました。

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